どういうわけか、筆者は唯一の友を失くしてしまった。読者は思うだろう。あなたはひどい人間に違いない、どうしてそんなことが起きたのか、と。答えはこうだ。ポーカーチップほどの大きさのガジェットで、筆者の生活に新たな価値を何ももたらさないものなら、失くすのはとても簡単だということだ。「フレンド」は、筆者が今年試した八つのAIウエアラブル端末の一つだった。他の多くと同様、フレンドも数日以内に放置されることになった。ネックレスに取り付けるペンダント、ピンバッジ、メガネ、ブレスレット――筆者はそれら全てを試した。時には一度に全部を。「初めまして、私は『歩く盗聴器』と申します」そして全ての大手テック企業が、あなたにもこの新しいカテゴリーを試してもらいたいと思っている。米グーグルは2026年にAIメガネ(スマートグラス)を発売する予定だ。米メタ・プラットフォームズは、筆者が試したマイク搭載ペンダントを開発した新興企業リミットレスを買収し、米アマゾン・ドット・コムは、筆者のお気に入りの一つであるブレスレットを開発した新興企業ビーを買収した。オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、米アップル出身の著名デザイナーであるジョニー・アイブ氏と共同開発するAI端末で同社に挑戦すると述べている。