世界メガファーマの仏サノフィは、ワクチン世界大手として、コロナワクチン確保を巡る国家間の競争に巻き込まれた。元厚生労働省官僚でもあるサノフィ日本法人の岩屋孝彦社長が、日本へのワクチン供給姿勢と日本特有の課題を語った。(ダイヤモンド編集部副編集長 臼井真粧美)
米国への優先供給が報じられ、仏政府が反発
日本供給はどうなるのか
――仏サノフィが米国にコロナワクチンを優先供給すると報じられたことに仏政府が反発した後、サノフィは米国への優先供給を否定しました。各国政府が自国向けのワクチン確保に動く中、どこへ供給していくのですか。
サノフィに米国を優先するという気持ちがあったわけではないですが、そういう風に受け取られた部分もあり、CEOや会長が正式に会社として「世界中に届ける」ということを表明しました。
――製薬企業の姿勢がどうであれ、各国が自国分を確保しようとする動きは止まりません。日本への供給はどうなるのでしょうか。
各国間で取り合いと見えるような状況が起きてしまうこと、ワクチンを手に入れたいという各国の気持ち、十分に理解できます。各国の経済指標は非常に低い成長率となり、未曽有の経験をしています。ワクチンで予防するというのが、経済面に見通しをつける唯一のソリューションといっていいのかもしれない状況ですから。