何でも「Please」をつければ丁寧だと思ってしまいがちだが、やはり直接的すぎる物言いは避けたいところ。基本的には気にしすぎなくて大丈夫だが、気の利く言い方を知っておくと便利である。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。
命令英語はPleaseをつけても強すぎる
何でも「Please」をつければ丁寧だと思ってしまいがちですが、直接的すぎる物言いはよくありません。
体調を崩した人に、「早く良くなってね」という意味で「Get well soon please.」と言うのは、「早く良くなって、早く会社に来て働いてね」という強めの言い方に受け取られかねません。ここでは、「Hope you get some good rest.」(ゆっくり休めるといいわね)と言う方がベターでしょう。
ただ、このあたりの微妙なニュアンスは、英語のネイティブスピーカーにしかわからないことも多いので、基本的には気にしすぎなくて大丈夫です。弊社のネイティブ講師たちも、「日本人はそもそもPolite(行儀がよい)ので、多少英語の表現が雑でも問題ないです」と太鼓判を押しています。
それを踏まえたうえで、より丁寧な表現を使うには、「自由意志に働きかけること」を意識するとよいでしょう。具体的には、「would」を上手に使えるようになると便利です。以下に「would」の4つの形を紹介します。
・Would you please~
単にPleaseよりも柔らかさが出ます。Please~と言いたくなったら、何はともあれWould you please~と言い換えましょう。
Would you please tell me how?
→どうやるのか教えて頂けますか?
Would you please take a look at this?
→これに目を通して頂けませんか?
Would you please attend today’s meeting?
→今日の会議に出て頂けませんか?
・Would you like ~
「あなたは~をやりたいですか」という自由意志を確認する、より丁寧な言い方です。
Would you like to talk about the schedule?
→スケジュールについて話しますか?
Would you like to go to lunch?
→ご一緒に昼食はいかがですか?
Would you like to meet my boss?
→私の上司とお会いになりますか?
・Would it be possible to ~
「~をしてくださることは可能でしょうか」は、日本語でもよく使う表現ですね。
Would it be possible to provide some data?
→もっとデータをくれると嬉しいです
Would it be possible for you to help me with this?
→少し手伝ってくれると嬉しいです
Would it be possible for you to explain more?
→もう少し説明してくれると嬉しいです
・Would you mind ~ing ~?
「あなたは~をすることを気にされますか」という、丁寧かつ、本人がどうしたいかを尊重した表現です。何かを依頼したいときに使えます。
Would you mind finishing it today?
→今日中にやってくださいますか?
Would you mind replying as soon as possible?
→できるだけ早く返信をお願いできますか?
Would you mind going on a business trip?
→出張に行ってくださることは可能でしょうか?
次回は、現状把握のフェーズにおいて、いよいよ本題、「発言を理路整然と組み立てる」フェーズに入っていきます。お楽しみに。
イングリッシュブートキャンプ株式会社代表
ハーバード経営大学院 ジャパン・アドバイザリー・ボードメンバー
DIAMOND ハーバード・ビジネス・レビュー アドバイザー
静岡県出身。静岡県立清水東高等学校を卒業後、1年半アルバイトで学費を稼ぎ渡米。ウィリアム・アンド・メアリー大学を経済学・政治学のダブル専攻で卒業後は、シアトルでヘリコプターの免許を取得後帰国。1997年4月三菱商事株式会社入社。鉄鋼輸出部門に配属され様々な海外プロジェクトに携わる。2004年より、ハーバード経営大学院に留学。2006年同校よりMBA(経営学修士)を取得。三菱商事に帰任後は、米国に拠点を持つ子会社を立ち上げ代表取締役として経営。2011年同社を退社後、グローバル・リーダーの育成を担うグローバル・アストロラインズ社を立ち上げる。2012年よりイングリッシュブートキャンプを主宰。イングリッシュブートキャンプ社代表も務めるかたわら、大手総合商社各社をはじめ、全日本空輸、ダイキン等、様々な国際企業でグローバル・リーダー育成の講師としてプログラムの開発・自らも登壇している。