雑談を通して相手のことを知ろうともせず、いきなり本題に入るのは失礼に当たる。とはいえ、会ったばかりの人と、いきなり込み入った話をするのは難しい。自然な流れで雑談に入るには、とっつきやすい「つなぎ」があると便利である。
米国の大学やハーバード・ビジネス・スクールで学び、総合商社で丁々発止のビジネスを行ってきた経験を踏まえて、現在、日本人の英語力向上とグローバル・リーダーの育成に携わる著者が、最新作『グローバル・モード』から抜粋してそのコツを紹介する。
アイスブレークはたっぷりと
雑談を通して相手のことを知ろうともせず、いきなり本題に入るのは失礼に当たります。「あなたという個人に興味があるわけではなく、あくまであなたの組織と肩書に興味がある」というビジネスマシーンのような印象も与えかねません。
また、会ったばかりの人と、いきなり込み入った話をするのは難しいものです。気心が知れた日本人同士ならまだしも、生まれも育ちも違う人たちとの出会いでは、やはり少し会話をしてお互い波長を合わせてから本題に入りたいものです。
問題は、話題選びが難しいことです。挨拶も早々に「あなたの趣味は何ですか?」は踏み込みすぎでしょうし、「日本の浮世絵が書かれた時代背景をご存知ですか?」では深すぎるでしょう。自然な流れで雑談に入るには、とっつきやすい「つなぎ」があると便利です。
鉄板なのは「旅」に関する話題です。適度にカジュアルで答えやすく共感もしやすい。海外出張に行くのであれ、相手方が来日するのであれ、面談場所までどちらかは旅をしてきているわけですから、これほどぴったりな話題はありません。
How was your flight?
→フライトはどうでしたか?
How’s your hotel?
→ホテルはどうですか?
How’s the jet lag?
→時差はいかがですか?
といった質問から会話が広がるでしょう。ちなみに、相手の地元のホテルについては、あまりけなさないように。どんな関係性があるかわかりませんし、そもそも地元を悪く言われて気分がいいはずもありません。また、基本的に「ネガティブ」な話題では場も暗くなるので、ポジティブな話題を優先させましょう。また、
Do you have anything particular you want to see in Tokyo?
→何か東京で試したいものはありますか?
と地元情報を伝えるきっかけを作ったり、
Have you tried Ramen? Ramen is Japanese soul food…
→ラーメンはもう食べましたか。ラーメンは日本のソウルフードで……
などと、自分の得意な話題に続けていくのもよいでしょう。