迷惑な顧客との関係を断つ5ステップ

 警官と諜報員として訓練を受けた結果、扱いにくい人間、理性をもたない人間に対処する際の重要な教訓を得ることができた。許容しがたい行動をする顧客やクライアントの大半は無害ではあるものの、私はひとつひとつのケースに慎重かつ冷静に対処すべきだと考えている。そして、この顧客との関係は完了すべきだと判断したら、次のステップを踏むことにしている。

ステップ(1) 任命する
 「完了」の任務を担うように、スタッフに命じる。わが社では、顧客との関係を完了する任務にあたる唯一の人材は、この私だ。だが会社の規模や業種によって、事情は違ってくるだろう。この任務をプロとして慎重にまっとうできる権限、専門知識、態度の持ち主はだれかを検討してもらいたい。

ステップ(2) 冷静沈着に、すぐさま実行する
 たとえ顧客から怒鳴られようと、わめかれようと、つねに冷静さを保つ。自分の体験からも、これが困難をきわめることはよくわかるが、これ以上、相手の怒りの火に油をそそいではならない。そして、相手との関係を完了するにあたり、なにも電話で1時間もくどくどとその理由を説明する必要はない。ただし、かならず料金は払い戻すこと。

ステップ(3) プロに徹し、通告する
 あなたのせいで弊社の社員がどんな思いを味わわされたか、わかりますか? なにもかも、そちらのせいですよね? 迷惑な相手に向かって、そんな説明をする必要はない。
 道理をわきまえない人間というものは、自分にどんな非があろうとまったく自覚しないからだ。弊社はもう貴殿とのお取引を継続するつもりはございませんと、それだけを通告しよう。

ステップ(4) 毅然とした態度をとる
 ときには先方が謝罪し、これからは態度をあらためると誓い、今後もお取引をお願いしたいと懇願してくる場合もあるだろう。だが、ここで譲歩し、態度を軟化させてはならない。あなたはすでに貴重な時間と労力を、その人物のために大量に浪費しているのだから。

ステップ(5) 撤退する
 相手が謝罪してこようと、攻撃してこようと、あなたの会社となんとかして連絡をとろうとしてこようと、ぜったいに二度と関わってはならない。あなた自身の安全と、社員の身の安全がかかっているからだ。相手がトラブルを起こそうと目論んでいたり、激昂していたりする場合、ふたたび関わろうものなら、相手をつけあがらせるだけだ。ストーカーは避けるべきであるように、道理をわきまえない客とは断固として縁を切ろう。

(本原稿は『超一流の諜報員が教えるCIA式 極秘心理術』ジェイソン・ハンソン著、栗木さつき訳の抜粋です)