スパイのスキルは「ビジネススキルの宝庫」だった!すばらしい実績を残したCIA諜報員におくられる賞を約10年の在職中に2度も受賞した著者が、訓練で身につけたそのスキルの中から、ビジネスでも使える実践的な技を教える『超一流の諜報員が教えるCIA式 極秘心理術』がついに発売。
佐藤優氏が「競争に勝つための表技と裏技が盛り込まれた、強いビジネスマンになるための必読書」と絶賛する同書より特別に一部公開します。
「お客さまは神さま」とは限らない
人間関係を育むプロセスには長い時間がかかる。だが、どっちつかずの態度を示すやる気のない協力者と一緒に働こうものなら、他国政府やほかの諜報機関にいつ情報が漏れてもおかしくないというリスクを負うことになる。そのため、命令に従わない協力者とは即刻、関係を断つ。挽回のチャンスは与えない。
私はなにも、職場でも挽回のチャンスを用意すべきではないと言っているわけではない(だれだってミスは犯すものだ)。ただ、クライアントが礼儀に欠けていて、仕事に悪影響を及ぼしている場合、あなたの貴重な時間と労力を節約すべきだと言いたいだけだ。
たとえば、ある友人は悪質なクライアントについて、これまでさんざん私に愚痴をこぼしてきた。無礼で口汚く、大声でわめきたてるうえ、非常識な要求を突きつけてくるくせに、けっして満足しないという。
それなのに、こうしたタイプの相手を満足させようと懸命に努力する人のなんと多いことか。その甲斐あって、ほんの数日間、せいぜい1週間程度は、相手の怒りをやわらげられるかもしれない。だが、その後はまた同じことが繰り返される。だから明言しておきたい。
「顧客がつねに正しいとはかぎらない」と。「お客さまは神さま」とはかぎらないのだ。
もし、無礼な態度をとり、暴言を吐き、気難しく、しょっちゅう騒ぎを起こしているのなら、そんなクライアントとは即刻、関係を断つべきだ。おそろしく手のかかるクライアントには、たとえ少額であろうとカネを費やす価値などない。
そんな迷惑な人間に費やしている資源と労力を計算してみよう。そうすれば、そんな輩にかかずらう価値などないことがわかる。
時間、労力、そして個人の幸福。それがあなたにとってもっとも貴重なものだ。だから、そうした貴重なものを、新たなクライアントの発掘に向けよう。許容できる範囲のふるまいをする相手を見つけるのだ。