欧米の経済指標は4月を大底に、空前の規模の景気刺激策と経済再開で急反発している。もっとも市場は、株式相場がいったん沸き立った後、新型コロナウイルス感染拡大と経済の先行き不安が拭えず、気迷い気味だ。究極の安全資産である金が高値を更新するのも、不透明感の表れといえる。

 為替市場ではドルが対主要通貨で軟調だ。米国経済が先導して世界が回復するときにはドル安が進む。「リスクオンでドル安」になり、ドル安がリスクオンを促す好循環である。ただし、足元のドル軟化相場に乗るにはまだ慎重だ。

「リスクオンでドル安」はどういうメカニズムで発生するか。FRB(米連邦準備制度理事会)の金融緩和は積極的で、米経済は政策感応度が相対的に高いと判断される。いち早く米経済が改善し始め、潤沢に供給されたドルが有利な投資先を目指して動くと、まずは株式、そして海外の新興国や資源国へ流出してドル安になる。米実質金利(=名目金利-期待インフレ率)は「リスクオンでドル安」の指針の一つとなろう(次ページ図参照)。