勝ち組負け組#10Photo:d3sign/gettyimages

クラウド関連やネット系サービス企業など、コロナ禍による生活様式の変化を捉えた中小型株の上昇基調が続いている。すでに成熟した大型株と違い、中小型株は「大化け」が期待できるのが魅力だ。『恐慌決算の勝ち組・負け組』(全10回)の最終回では、独自の成長要素を持った質の高い成長銘柄の探し方を伝授する。(ダイヤモンド編集部 竹田幸平)

「週刊ダイヤモンド」2020年6月6日号の第1特集を基に再編集。肩書や数値など情報は雑誌掲載時のもの。

日経平均を大きく凌駕する
中小型株の堅調な値動き

 中小型株の堅調な値動きが目立っている。新興市場の東証マザーズ指数は、東京都など一部地域に緊急事態宣言が出された4月7日から5月25日までの上昇率が56%に達し、上値の重い日経平均株価(同期間の上昇率は12%)を大きく凌駕しているのだ。

 生活様式の変化を捉え、コロナ時代に成長が期待できる創薬やIT関連銘柄などに投資資金が集まっており、マザーズ指数は5月の上昇局面で年初来高値を上回るなど、上げ幅が際立つ状況にある。

 振り返れば中小型株は、2017~18年初めごろまで世界的に大型株より好調な値動きを示すブームの様相を呈していたが、一巡後はパフォーマンスが悪化するにつれ、19年ごろから大規模な資金流出に見舞われていた。

 今年は3月にコロナ禍の影響を懸念して株式市場全体の相場環境が悪化したが、JPモルガン証券の阪上亮太チーフ株式ストラテジストは、そのように株価が大きく調整する局面では「独自の成長要素を持った成長株や収益性の高いクオリティー株に資金が集まりやすくなる」と指摘。ここにきて中小型株の堅調さが目立つのは、昨年来の低調な値動きを経て、投資マネーが集まる条件に合致したことも背景にあると見ているという。

 それだけでなく、阪上氏は中長期的に「コロナ後」の世界を考えても、その相場環境は中小型株の追い風になると想定する。