「私たちは、よい1on1選手権をやっているのではない」と私はよく言いますが、私たちの目的は、シンプルにビジネスの成功であるべきです。Transparencyや上司と部下の信頼感の醸成は、利益や社員の幸福のための手段であり、目的ではない。そのためには、1on1を導入する人が、1on1についてよく考え、業務や組織文化、人事制度を俯瞰した上で、取り入れるべきだと思います。

信頼感を醸成にするには
対話の頻度が重要に

※そして今、コロナウイルスという予想外の難敵により、上司・部下間のコミュニケーションには、再び危機が訪れているように見える。

 リモート環境は、上司・部下間のコミュニケーションにとっては、危機であるかもしれません。状況はともあれ、信頼感を醸成にするには、まずは、対話の頻度を増やすことが重要である、と私は考えています。ですから、特に上司側は、ツールを使って積極的なコミュニケーションを図るべきでしょう。

 すでに1on1をスタートさせている企業については、それを止めないことです。制度が定着していない企業の場合、抵抗勢力が現れるもの。もとより、定期的に部下と対話をする、という作業は、面倒なものです。「あんなものやってもしょうがない」とか「あんなのやっても売上は上がらない」というような声は、ヤフーでも一部にありました。おそらく、始めている企業では、うまくやっている人も少なからずいます。ただ、人事や経営層には、一部の人の大きな声が届くものです。うまくやっている人は、何も言いません。大きな声に惑わされてはいけないんです。

 上司と部下との関係を良くする、ということが、悪いわけがありません。信頼感を作り出すことは、イノベーションにも、業績の向上にも、そしてコロナという外圧を乗り越えるためにも、不可欠なのではないでしょうか。