ウィズコロナ時代の「1on1」、上司と部下はどのように信頼を醸成すればいいか本間浩輔(ほんま・こうすけ)
ヤフー取締役 常務執行役員コーポレートグループ長。
1968年神奈川県生まれ。早稲田大学卒業後、野村総合研究所に入社。コンサルタントを経て、後にヤフーに買収されることになるスポーツナビ(現ワイズ・スポーツ)の創業に参画。2002年同社がヤフー傘下入りした後は、主にヤフースポーツのプロデューサーを担当。2012年社長室ピープル・デベロップメント本部長を経て、2014年より執行役員。

 誤解を恐れずに言うなら、みんなが会社に集まって課題に取り組むという、これまでの働き方の方がコミュニケーションをとるのは楽に決まっています。しかし、コロナという外圧によって、それができなくなってしまった。当面は、今の状況が続くでしょうし、これが新しい現実になった、と捉えるべきかもしれません。そこは奇貨おくべしで、新しい時代なんだから、新しいやり方にしましょうということです。

 こんな時代だからこそ、組織にはTransparency(透明性)が必要になる。上司部下の関係でいえば、お互いの信頼関係に関心が高まるのは当然のことだと思います。その結果として、1on1を活用してみようと考える管理職や企業が増えるということも理解できます。

「阿吽の呼吸」は
昭和スタイルでしかない

 かつて、日本の組織は凝集性(注2)が高く、それが強みであったと思います。多くを語らなくても「阿吽の呼吸」で「空気を読んで」仕事が行われてきました。いうなら「昭和スタイル」。オンラインがメインとなるウィズコロナ時代において、このような、かつてのコミュニケーションスタイルは通用しません。 

(注2)社会心理学用語、経営学用語の1つ。集団が構成員を引き付けて、その構成員を集団の一員となるように動機付ける度合いを指す。

   私の友人には「コロナ禍が過ぎたら、もとに戻る」と断言する人もいますが、私はそうは思わない。例えば、同じコロナ禍を学生として経験した(オンライン講義に慣れた)若い世代が、昭和スタイルが横行する企業を選んでくれるはずがありません。企業は新しいスタイルを取り入れざるを得なくなる。