そこで、僕はささやかな提案をさせていただきたい。お酒を呑まないと眠れない人は、お酒を呑み始める前に、最低限「パジャマ」に着替えましょう。

 これは、仕事の時間と安らぎの時間を切り替える機能を、「お酒以外」のものに分散していくための行動です。

 パジャマとは、一切社会的な要素のない服です。仕事と完全に絶ち切られた服装に着替えることで、強力に時間を仕事から安らぎの方向へ切り替えることができます。そして、このひとつの習慣ができるようになれば、よりよい飲酒時間を楽しむための工夫を追加していくことも徐々に容易になっていくでしょう。

 もちろんできれば、この「ナイトルーチン」はもう少しつくりこんだほうが効果的です。

 まずシャワーを浴びて身体をすっきりさせ、お気に入りのソファに腰かけて映画を流しながら、お気に入りのグラスでおいしいお酒を呑む。ここまでつくりこめれば、アルコール依存のリスクはかなりの部分が軽減されます。それは「依存」ではなく「娯楽」あるいは「文化」になっていくのです。

 お酒を「薬物を摂取する行為」ではなく「文化的な楽しみ」に保つことは本当に重要です。面倒でもしっかりとくつろげる環境をつくって、楽しくうまい酒を呑みましょう。「呑んではいけないときに呑む酒が一番うまい」という考え方は、封印して。あなたの呑むお酒が美味なるものであることを、僕は心から祈っています。