日本では、どんなに強く患者が死を希望してもそれをほう助することはできない。現在、難病であるALSの患者に対して、いわゆる安楽死を行った医師2人が問題になっている。さらに、そこから派生し2人の医師のうち1人が、外国の医学部を卒業した後に日本の医師国家試験に合格し、日本の医師免許を取得したという点が問題になっている。つまり、「日本の医師免許の取得が適切だったのか」という指摘だ。筆者の専門は倫理学ではないので、医師免許と外国の医学部という部分について考察してみたい。(中央大学大学院戦略経営研究科教授、多摩大学大学院特任教授、医師 真野俊樹)
「安楽死の問題」から議論が発展
外国の医学部卒で日本の医師免許取得
はっきりいえば、日本は医師免許についてはかなり厳しい。諸外国に比べると、閉鎖的であるともいえる。審査対象者からの申請書類により、審査対象者が日本の医学校を卒業した者と同等以上であるか否かについて、表のような認定基準に基づき審査を行う。
さらに、日本語能力として、「日常診療において関わる機会の多い主要な症候を呈した患者に対する医療面接等及び当該診療に関する記述や説明を行い、次の各領域について調査委員2人が各々4段階(3~0)の評価を行う」。そして、直接に医師国家試験受験、あるいは予備試験から1年以上の実地修練を経て医師国家試験受験となる。