1人10万円の使い方
その「正解」は?

 冒頭の家族会議に戻ると、筆者の家計は損をする「中間層」であることは間違いない。幸い、現在は仕事と収入があるが、その少なくとも一部は「幸運」によるものだ。コロナとは別のショックが起こって「不運」が生じたときに、中間層からの転落を免れると確信できるような頑健性は、わが家にはない。

 冒頭で子どもに述べたように、「1人10万円」は誰もが堂々と遠慮なく使っていいお金だ。なので、子どもがどう使っても本当にいいのだが、さて、父親である筆者は、どの答えを期待すべきか。

 選択肢を簡単に繰り返すと、(1)物の購入、(2)イベントへの支出、(3)投資、(4)寄付、だ。

 子どもに特段の才能や意欲がないのなら、(3)が一応の「正解」だろう。「資産のない勤労者」の立場を脱出する、あるいは少しでもリスクをヘッジする手段として、リスク(価値の上下の変動性)がある資産を持つことは有効だ。やり方を早く覚えておくのは悪くない。投資は難しくないし、本人が無能であっても、同じようにやれば、有能な人と同じ効果が得られる。

(1)、(2)を選ぶのは、いささか「気が利かない」。物でもイベントでも、うまく説得すれば親がお金を出してくれるのだから、「1人10万円」をそれに充てるのはもったいないではないか。

 また、使い道が思いつかないなら、良い考えが浮かぶまで投資で増やしておくと考えるのでもいい。まして、父が勧めた投資がうまくいかなかった場合、そのことについてチクチクと嫌味を言えば、父親が欲しいものを買ってくれそうだと予想できる。