第5世代移動通信システム(5G)機器を巡る欧米と中国の対立は、韓国のサムスン電子に好機をもたらしている。米国と英国は国内の5G網から中国の通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)を排除することを決めた。ファーウェイは業界最大手だ。欧州の他国もこれに続くべきか検討している。中国政府は英米の措置を受け、ファーウェイに次ぐ世界大手である欧州のノキアとエリクソンに対し、中国産の製品輸出を禁じることを検討している。ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)が先週報じた。こうした地政学的な対立は業界4位のサムスン電子にとって、通信機器市場に注力する大きなチャンスとなる。同社は通信機器を将来的な成長の柱と位置付けている。サムスンは巨大な資金力を持つものの、通信機器に関しては長年、脇役的な存在だった。だが、過去の収益源だったスマートフォンやテレビの販売が停滞する中、サムスンは通信機器とそれに接続する消費者製品の双方を販売するサプライヤーを通信業者は求めるはずだと考え、多額の投資に打って出ている。