米中関係や豪中関係の悪化が、豪ドルの重石となるリスクがある(写真はイメージです) Photo:PIXTA

 豪ドルは3月に急落したが、その後大きく反発し、急落前の水準を回復している。中国では新型コロナウイルス感染が早期に抑制され、景気が回復したほか、銅価格が急反発し、豪州中央銀行(RBA)が量的緩和策に対して消極的な姿勢を見せたことが、豪ドル買いを後押しした。今後も中国や豪州の景気回復が続けば、豪ドルが続伸する可能性が高いが、一方で米中関係や豪中関係の悪化が、豪ドルの重石となるリスクもある。

豪国民の中国に対する不信感
豪政府は中国と距離を置く

 これまで豪州は、中国との経済関係を強化してきた。豪州から中国への輸出は、輸出全体の4割程度と世界最高のシェアになっている。もっともここ数年は、経済だけでなく政治においても中国の影響力が無視できないほど強まっており、豪国民の間で中国への不信感が高まっている。6月24日に発表された世論調査によれば、「中国を信頼している」と答えた豪国民の割合は23%と、18年時点の52%から大幅に低下した。

 このためか、豪政府は中国と距離を置く姿勢を示し始めている。豪政府は2018年8月23日、米国と歩調を合わせるかたちでファーウェイなど中国大手通信機器メーカーの5G事業への参入を禁止。今年(2020年)3月30日には、全ての海外からの投資案件につき、豪外国投資審査委員会による審査を義務付け、中国による豪州の重要企業の買収阻止姿勢を明確化した。

 モリソン豪首相は同年4月23日、中国を念頭に新型コロナウイルスに関して発生源を特定する独立した調査が必要であると発言。すると中国は、豪州からの輸入品を一部制限するなど豪中対立が激化しており、豪州経済への悪影響が懸念されている。