豪州の利下げ可能性は低い、豪ドルは「マラドーナ理論」で上昇へ
RBAによる豪州の利下げの可能性は低いとみられる。そのことは「マラドーナ理論」で説明できる(写真はイメージです) Photo:PIXTA

中国景気の影響を受けやすい豪ドル
一方で豪州経済は堅調に推移

 豪(オーストラリア)ドル/円は、2018年初の87円前後から、18年末にかけて77円前後へ下落し、19年1月3日の米ドル/円のフラッシュクラッシュ時には80.16円へ急落した場面もありました。18年中の豪ドル安は、中国景気減速懸念の強まりに応じたものだったと言っても過言ではありません。

 米中貿易戦争が想定外に激化する中で、米経済はトランプ政権が17年末に決定した大規模減税などから非常に好調だった一方、中国の経済指標は悪化を続けるなど、当初貿易戦争激化で想定された米中経済の共倒れは起きず、中国が1人負けの状況となりました。

 為替市場では、中国で何か悪材料が出ると豪ドル安につながる傾向があります。豪州の対中輸出比率が3割超と世界一高いことから、「輸出を通じて中国景気鈍化の悪影響を最も受けやすいのは豪州」との見方が背景にあります。

 豪ドルは中国人民元と比べて流動性が高く、24時間取引可能で、人民元の「代理通貨」として取引されやすい面もあります。実際、豪ドルは上海総合株価指数やオフショア人民元との連動性が非常に高くなっています。

 もっとも、豪州経済は中国景気減速の悪影響をほとんど受けませんでした。豪州の輸出は増加が続き、貿易黒字が拡大しました。中国のインフラ投資主導の経済拡大の恩恵を受けやすい鉄鉱石や石炭の輸出の明確な減少は観測されなかった一方で、旅行や天然ガスの輸出は増加基調となりました。

 インバウンド需要が計上される旅行輸出では、中国からの旅行者や留学生が寄与した可能性が高いほか、天然ガスも中国への輸出増が貢献しているとみられます。貿易関連では、豪州は中国の悪影響を受けるどころか、むしろ恩恵が拡大したという方が正しいでしょう。