翌日、織田さんが出社すると、社内は慌ただしい状況になっていたという。

「朝早くに『新型コロナウイルスの感染拡大を受け、来週にも施設を臨時休業する』という上からの指示が出て、その対応に追われていました。その日は研修もなくなり、新入社員はすぐ帰宅するように言われました。その日の夜、正式に『4月7日からゴールデンウイーク明けまで施設を休業するため、新入社員は自宅で待機してください』という連絡がきたのです」

 その連絡以降、会社から織田さんたち新入社員へ連絡が来ることは一度もなかったという。

「先輩社員たちは休業後も毎日、施設内の管理やお客さまへの対応があり、忙しい日々が続いていました。新入社員には構っていられませんよね。私たちはとにかく、何もできないで待機するのみでした」

 結局、緊急事態宣言が全国に拡大し、さらには期間を延長したことで、ゴールデンウイーク明けにも施設は再開できず、休業は5月末まで続いた。6月に入って施設は営業時間を短縮し、利用できるアトラクションに制限を設けるなどしながら、営業を再開しているという。

「施設は再開しましたが、あらゆる部分の勝手がこれまでとは違い、スタッフもゲストも混乱しています。そんな状況で新人の研修に人手は割けず、かといって私たちが現場に出ることもできないので、しばらくは出勤してもバックヤードの掃除をするのみだと言われています」

 6月の出勤予定日数は、たったの5日間。それ以外の日は、これまでと同様に自宅待機が命じられている。

「先輩たちは施設の営業再開を心から喜んでいましたが、自分はどこか人ごとのように見ていました。そう感じる自分がいることに気づいたとき、『自分も早く、この施設の一員になりたい』と思いましたね。今は施設のスタッフでもないし、当然お客さんでもない、中途半端な立場である気がしていて…。胸を張って、『この施設のスタッフです!』と言える日が早く来れば、と願っています」

 もどかしい気持ちを抱える織田さんだが、本格的な研修再開のめどはまだ立っていない。