先行きは見通しづらいが、韓国が本当に政府間の最終的かつ不可逆的な合意を反故にして、日本企業に実害が発生する可能性は過小評価できなくなっている。わが国政府が、韓国へのビザ発給条件の厳格化や駐韓大使の一時帰国など報復措置の検討を進めているのは、文政権が一線を越えてしまう恐れが高まっているからだろう。

 日韓関係が修復困難な状況に陥るリスクを高める文政権に関して、主要国の中からも懸念が出始めたようだ。ドイツはわが国に続いて韓国のG7参加に公式に反対した。ドイツがG7拡大に反対する表向きの理由は、ロシアの影響力拡大を食い止めることだ。それに加えて、ドイツが国家間の合意遵守という国際社会の常識を無視する、韓国への憂慮を強め始めた可能性は軽視できない。

 言い換えれば、国際社会において韓国は相手にされなくなり始めている。足元、米国も中国も、国内の感染対策と覇権国争いに必死だ。欧州各国もアジアの新興国も感染拡大から自国民を守らなければならない。かつてないほどに各国の協調が求められている。そう考えると、韓国の過度に強硬な主張への批判は増えるだろう。

 今、韓国に求められることは、わが国をはじめ近隣諸国と真摯に向き合うことができるか否かだ。文大統領が国内外の情勢に真摯に向き合うことができなければ、韓国は一段と難しい状況を迎えるだろう。わが国としては国際世論を味方にして、自国企業を守る万全の体制を整備しなければならない。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)