しかし、今回JR東日本やJR西日本が言及した「時間帯別運賃」は、上限を超える変更をする可能性も含まれている。これを実現させるためには国土交通省より認可を受けなければならないが、そのあたりの調整も鑑みての言及なのであろう。

 では、反対に法規制の枠組みさえ取り払えれば実現できるのか。

 仕組みについては、すでに東京メトロのメトポはPASMOでの入場時間に応じてポイントを付与することを行っており、ICカードを使えば時間帯で区切ることも可能だろう。

 むしろ問題は、消費者が受け入れるかどうかだ。

 消費者は値下げには寛容だが値上げにはシビアであり、十分周知されていなければ当然トラブルの原因となる。例えば他社線からの乗り換えで遅延があったせいで運賃が高い時間帯に入り、値上げされてしまうといった事態も起きかねない。

 昨年執筆した記事で述べたが、鉄道運賃のダイナミックプライシングの行く先は、AIによる変動的な値付けである。

 だが、今回、鉄道各社が言及している「時間帯別運賃」は、事前に利用客の了承を得た上で行うため、ある程度の理解が得られるともいえる。

 とはいえ、ほとんどの人が時間帯で運賃が異なるという感覚に慣れていないため、普段利用している列車の運賃が急に高額になれば相当驚くだろうし、かなりの反発もあるだろう。

 沿線住民への信頼で成り立つ鉄道にとって、このようなリスクがある選択はとても悩ましいところでもある。