電車内は人間性があらわになりやすい場だ。たとえばかたくなにドア付近に陣取り、乗降客がいても一切どこうとしない迷惑な人を見かけることがある。しかし、仕事ができるビジネスパーソンはそんなことはしない。奥に詰めることが“合理的”であると知っているからだ。彼らの違いを、カウンセリングサービス所属の心理カウンセラー・桑野量氏に聞いた。(清談社 角南 丈)

状況把握能力が高く
全体最適を考えられる

電車内は人間性があらわになりやすい場所です。
混雑する電車の中での振る舞いを見れば、「仕事ができる人」かどうかはすぐに分かる Photo:PIXTA

「車内の中ほどへお進みください」

 毎日、車掌はこのようにお願いしているが、その思いはなかなか乗客には届かないようだ。電車内では、かたくなにドア付近からどこうとしない人と、奥に行きたい人が、無言で押し合いの攻防を展開している様が目に付くが、実はこうした電車内での振る舞いは、その人の普段の仕事ぶりとも関係しているという。

 桑野氏は、電車内で奥に詰める人は4つの理由から仕事ができる、と解説する。1つ目の理由は「状況把握能力が高い」ということだ。

「状況把握能力が高い人は、電車内という狭い空間の中で、自分の立ち位置やこれからの人の流れを読むことができます。それはドア付近に陣取る人を迷惑に思ったり、自分がドア付近に立っていて迷惑がられたりした記憶など、過去の苦い経験を改善し、未来に生かす学習・分析能力があるということでもあります。逆に過去の経験から未来を読む分析能力が低い人は、こうした気を回すことが難しいのだと思います」

 2つ目の理由は、特に部下を持つ管理職は肝に銘じておきたいところだが、部分最適ではなく「全体最適」を考えられるという点である。

「電車内が混んでいても奥に詰めない人の中には、自分が降りる駅で外に出づらくなってしまうという個人的なデメリットを考えているケースもあるようです。そういう人は、仕事でもたとえば、今自分が少し負荷をかければプロジェクトが回るという場面で、自分の残業時間や面倒くささなどばかりを考えてしまいがち。しかし全体最適を考えられる人は、会社やチームなど全体のメリットを優先できるため、部下や上司からの信頼も厚く、逆に自分が困ったときに周りから助けてもらえるでしょう」