【日本人の知らない教養】あなたは「キリスト教」がどんな宗教か説明できますか?【書籍オンライン編集部セレクション】Photo: Adobe Stock

みなさんは「キリスト教」を知っているだろうか?
おそらく、「まったく知らない」という人はほとんどいないはずだ。しかし一方で「詳しい」と答える人も少ないのではないだろうか。
キリスト教は、西洋絵画やクラシック音楽を理解したり、歴史を学んだりするうえで欠かせない教養。
けれど、世間では「キリスト教」=「まじめ」とか「神聖なもの」というイメージが根強く、若干近寄りがたく思われている感も否めない。
ところが、そんな世間のイメージをぐるりと覆すツイッターアカウントがある。
「上馬キリスト教会」ツイッター部は「『アーメン』を現代語訳すると『それな』、関西弁訳なら『せやな』ではなく『ほんまそれ』」といった「面白いキリスト教情報」を発信し続け、いまやフォロワー数10万を超える人気アカウントだ。
その“中の人”が「キリスト教の入門書ですら敬遠してしまう、超入門者」に向けて書いたのが『上馬キリスト教会ツイッター部の キリスト教って、何なんだ? 本格的すぎる入門書には尻込みしてしまう人のための超入門書』(MARO著)。
わかりやすく、とっつきやすく、キリスト教の基本がわかると評判だ。
本稿では、特別に本書から一部を抜粋・再編集して「教養として知っておきたいキリスト教知識」を紹介する。(初出:2020年8月7日)

「キリスト教」を成立させる3項目

 いきなりですが。

「キリスト教ってどんな宗教?」という問いに対して、「これこそがキリスト教である」と「絶対の正解」を提示することは、少なくともここではできません。

 そんなことを言うと「元も子もないじゃないか!」とツッコまれてしまいそうですけれど、でも聖書にも「分からないことは分からないと言え」と書いてあるので、正直に言ってしまいます。

 実は同じ「キリスト教」でも、教派によって「この教義がなくてはキリスト教とは言えない!」とか「こんな教えはキリスト教とは言えない!」といったぐあいに、定義の違いがあるんです。

 これは「カレーライスってどんな食べもの?」という問いに対して「絶対の正解」がないのに似ているかもしれません。

「ビーフカレーしか認めない!」っていう人もいるでしょうし「ニンジンを入れるのは許せない!」とか「トロみのないカレーはカレーじゃない!」とか、皆さんいろいろな答えを持っていたりします。

 しかしそれでも、それぞれの「カレーライス」を集計してみれば、やっぱり「みんなに共通する条件」は出てきます。

 たとえば、こんなふうに。

唐辛子・ターメリック・クミンなどのスパイスを混ぜたいわゆる

 

「カレー粉」で肉・野菜などを煮込んだものに、ごはんが添えられた料理。

 同じように、「キリスト教の定義」も多種多様なものがありますが、そこにある共通項を出してみれば、次のようなことが言えます。

・イエス・キリストを唯一の救い主であり、神であると認識している。

 

・「三位一体」という概念を大切にしている。

・聖書を唯一の正典としている。

 たった3項目でシンプルにも思えますけれど、実はこの3項目はそれぞれとても難しいことを言っています。偉い学者さんや牧師さん、神父さんがちゃんと解説すれば、それぞれ何冊もの分厚い本が書けてしまうほどのものです。

 しかもたとえその分厚い本をいくら読んだとしても、それだけではこれらのことを完全に理解するのは不可能なんです。

 これらのことについては実際に教会に行って話を聴いたり、聖書を読んだり、クリスチャンとして実際に生きてみたりして、初めて分かってくることがたくさんあります。

 聖書にも「聖書の真理は、自分の力で分かろうとしても無理。神様(聖霊)に教えてもらうことでようやく分かるのだ」と書いてあるんです。

 この3項目についてのもう少し詳しい説明は『キリスト教って、何なんだ?』をお読みいただければと思いますが、これを知っているだけで、わからないことだらけでも、ぐんと「キリスト教」の理解レベルが上がると思います。