「8月の今、こういう話をしなくてはならないとは、3月頃には考えていませんでした。『夏になれば何か見通しが見えてくるだろう』と思っていました。緊急事態宣言はありましたけど、夏になれば帰省も旅行もできるのではないかと期待していました。それが、全部へし折られた感じです」(小河さん)

 まず、高校に進学したばかりの1年生は、高校生活の実質的なスタートラインに立つこともできていない可能性がある。

「もともと、中学の段階でも不登校気味だったり不登校だったりする子どもたちを、学習支援でいろいろな大人たちが寄り添って伴走し、なんとか高校進学を勝ち取るところまで支えてきたわけです。でも、高校は休校です」(小河さん)

 オンライン授業があるとはいえ、リアルに場を共有しての支援がない環境で、義務教育ではない高校生活を順調にスタートできるとは限らない。

「特に、さまざまな困難を抱えながら、今春高校に入学した子どもたちは、このまま高校生活に馴染み、学業を続けていけるのでしょうか。平常時なら、高校の“居場所カフェ”のようなスペースも利用できるのですが」(小河さん)

失われた「サード・プレイス」
高校生を襲う深刻な影響

 大人の社会人も、時に居酒屋やカラオケなど家庭でも職場でもない「サード・プレイス(第3の場)」で息抜きしながら、職業生活や社会生活や家庭生活を続けているものだ。子どもにとっても「サード・プレイス」が重要であることは、近年、広く認識されるようになり、多くの高校に「居場所カフェ」が設置されるようになった。しかし、コロナ禍以前と同様の運用は不可能だ。運用を停止せざるを得ない状況にある高校も多い。

 現在、8月は夏休みシーズンである。夏休み明けの9月は、もともと退学や転校が多い時期だ。小河さんは、「例年より顕著になるのではないか」と危惧している。それでも退学なら、やり直しの機会があるかもしれない。最も懸念されるのは自殺だ。

「2学期が始まる9月1日は、そもそも子どもの自殺が多いですよね。平時でも、長い休暇の後は学校がしんどいものです。数年前、図書館が『学校が辛い子は、図書館にいらっしゃい』というツイートをして話題になりました」(小河さん)