ビジネスの現場では、状況に応じて柔軟に姿を変える「アジリティ(俊敏性)」が求められる。実は料理においても、たった一つのベースから無限のバリエーションを生み出せる“最強の食材とメソッド”が存在する。それが、ポケモンにちなんで名付けられた「イーブイ」だ。佐々木俊尚氏の新刊『人生を救う 名もなき料理』から、毎日の食卓で応用できる画期的なアプローチを紹介する。(構成/ダイヤモンド社書籍編集局)
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根菜を煮る「イーブイ」は無限大に進化する
とある平日の昼下がり。カットハウスで髪を切ってもらっていたら、となりの席の女性が若い美容師と話しているのが聞こえた。
「キッチンでジャガイモとニンジンとタマネギを煮込むところまではできてるんだけど、これをカレーにするか肉じゃがにするかはまだ悩んでて」
「それでカレーにも肉じゃがにもなるんですね! 料理しないんで驚きます」
「そうか、わからないんだねー。クリームシチューにもなるんだよ」
根菜を煮たものは煮込み系料理の土台
そう! これをわたしもいつもやっている。
ジャガイモとニンジンとタマネギに、牛肉や豚肉、鶏肉、ベーコン。肉はなんでもいいし、ダイコンやカブなど他の根菜も加えてもいい。
根菜を煮たものはさまざまな煮込み系料理の土台になるのだ。カレー、肉じゃが、クリームシチュー、トマトシチュー、ポトフ、中華料理の白湯。七変化である。
進化し変身できる「料理のイーブイ」
この変身ぶりに感動する料理好きは多いらしく、SNSを見ていたら「料理のイーブイ」と名づけている人たちがいた。
ポケモン(ポケットモンスター)のほとんどは一種類だけにしか進化しないが、イーブイはさまざまな姿に進化できるという他にない特徴を持っている。
いろんな料理に進化し変身できる根菜の煮込みは、まさにイーブイみたいというわけである。
朝や週末にこの「イーブイ」さえ仕込んでおけば、夜は献立を考える必要はない。これこそが、要領のいい大人の最強メソッドである。
(本記事は、書籍『人生を救う 名もなき料理』を抜粋・再編集したものです)
1961年生まれ、文筆家。テクノロジーから政治、経済、社会、ライフスタイルにいたるまで縦横無尽に発信している。現在は東京・長野・福井の三拠点生活を送り、コロナ以後に注目されてきている移動生活の先駆者でもある。妻は、イラストレーターの松尾たいこさん。一緒に暮らし始めたときから、料理は全面的に担当。その毎日の食卓を織り交ぜつつ、手際のよい調理の仕方、献立の立て方などを紹介した著書『家めしこそ、最高のごちそうである。』(マガジンハウス)は、大きな話題を呼んだ。『人生を救う 名もなき料理』は、12年ぶりの料理関連の書き下ろしとなる。







