戸建マンションと比べ、値下がりが早くて売れにくい戸建。10年で住み替えるためには?(写真はイメージです) Photo:PIXTA

売るに売れない戸建て
資産性を決める減価償却とは

 戸建は資産性に難があった。資産性がないというのは、値下がりが早くて売れなくなるということだ。そして売れないというのは、たとえ売却してもその価格で住宅ローンを完済できないため、売るに売れないと言う意味である。

 戸建と比較してマンションは、立地や物件属性などの条件を守ると、資産性があることは一般に認知されてきた。マンション大手7社連合のメジャー7の調査によると、マンション購入理由の1位は資産性となっている。しかし、戸建でもある条件を満たすと資産性があることがわかった。その条件は国のお墨付きだった。具体的には、住宅性能評価付き住宅(新築戸建の24.4%存在)、長期優良住宅(同24.5%)を取得していることである。

 土地と違い建物は劣化する資産であるため、減価償却という考え方がある。言葉通り、「価値が減少した分を費用として計上できます」という意味だ。この減価償却は構造によって、年数が異なる。

 マンションのような鉄筋コンクリート造は47年だが、木造の戸建は22年になる。このためマンションの場合、100÷47年で年2.1%の下落になる。一方戸建は100÷22年で4.5%の下落になってしまう。

 1戸当たりのマンションの土地は小さ過ぎて取引できないため、マンションの資産価値は建物価値と同様に1年で約2%下落する。それに対して、戸建の土地は売買できるが、解体して更地にしなければならない。解体費はたいてい200万円ほどかかる。

 こうした事情により、戸建は築浅での取引実績が多くない。通常、今の低金利ではローンの元本返済は年2.7%ほど進むので、マンションは年0.6%の手残りが出るが、木造戸建はそのままの状態で売れるか否かが、取引実績が少なくて微妙だった。