マンションが上昇、土地と戸建てが
横ばいを続ける住宅事情
前回の『「戸建ての建物価値はわずか20年でゼロになる」は本当か?』では、戸建ての建物価値が22年でほぼゼロになるという事実を説明した。その場合でも「土地代が残るではないか」と主張する人がいるが、その頼みの土地代は大都市でさえ軟調が続いている。
以下の不動産価格指数に見るように、アベノミクス以降、マンション価格は一本調子で上昇したが、土地と戸建ては横ばいを続けている。異次元の金融緩和で不動産に大量の資金が流れているにもかかわらず、住宅地価が上がらないのは需給バランスが崩れているからに他ならない。
◆図表1:住宅価格指数(全国)
住宅地価の需給バランスは、出生と死亡人口で端的に説明することができる。死亡による相続などの発生で、土地が放出されることが多くなる。その土地を購入する人は、ファミリー世帯が主であり、出生数が需要を生み出す。日本の人口が減り始めると、この需給バランスが逆転する。
以下のグラフに見るように、需給バランスは2008年には明らかにマイナスに転じており、当面その差の拡大が続くことは、人口構成の面から想像に難くない。ちなみに、前述のグラフの2008年時点での地価はリーマンショックで下がっているが、2008年以前は不動産に資金が流れる時期には地価は必ず上昇していた。今後、金融緩和が収束に向かうことになれば地価は下がる可能性が高いと言えるだろう。
◆図表2:出生数と死亡数(全国)