米国の物価は7月に上昇したが、連邦準備制度理事会(FRB)にとってはインフレ率がさらに大幅に上向かなければ、進路変更の検討すらままならない。だが投資家にとっては、それは青信号となる。米労働省が12日発表した7月の消費者物価指数(CPI)は前月比0.6%上昇し、前年同月比では1%上昇した。食料品とエネルギー品目を除いた物価――インフレ動向を見極めるためにエコノミストが注目するいわゆるコアCPI――も0.6%上昇し、前月比としては1991年以来の大幅な伸びを示した。コアCPIは前年同月比1.6%上昇となった。FRBがより重視するインフレ指標はCPIよりやや伸びが鈍く、インフレ率が近くFRBの目標とする2%を超えるリスクは低そうだ。その上、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的大流行)はインフレ指標を狂わせ、パンデミックの収束後を見通すのが難しくなった。一例として、中古車価格は前月比2.3%上昇したが、それは在庫不足とパンデミックによる需要拡大のためで、危機が去れば状況が変わる公算が大きい。