新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学、心理学、脳科学等、さまざまな切り口の資料や取材を元に「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー。100の「してあげたいこと」を実践するにあたっては、さらに詳細な「421の具体策」で、実際に何をどうしてあげればいいのかまで丁寧に落とし込んでいる。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を抜粋・編集して紹介する。

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「トライ&エラー」を体験する

 慶應義塾大学総合政策学部の井庭崇教授は社会のキーワードとして、高度成長期は「消費」、21世紀初めは「情報」(コミュニケーション)、そしてこれからは「創造」を挙げています。

 これからの社会では、本格的に何かをつくる経験を通して、知識やスキルを習得し、視野を広げ、成長していく学び方が重視されるだろうといっています。

 つくるというのは物理的な「ものづくり」に限りません。社会のさまざまな問題に対する新しい解決策やしくみをつくることも含まれます。

 そこにはひとつの正解があるわけではなく、ほかの人と一緒に力を貸し合いながら、忍耐強く試行錯誤をくりかえし、自分たちなりの答えを見つけ出していくのです。

 MITの発達心理学者、シーモア・パパート名誉教授は、つくりながら学ぶときに最も大切なのは、「ミスを修正し、つくり直し、また実行してみる『デバッグ』(バグを取り除く)のプロセス」だといいます。

 カリフォルニア大学バークレー校の社会学者、クリスティン・カーター上席研究員は、子どもにこうした「デバッグ」の体験をさせるための親の心得をいくつか挙げています。

【その1】専用の場所を与える

 子どもが自由に自分の世界をつくりあげていけるよう、散らかしても汚してもいい「ものづくり」のための場所を決めておきます。

 絵を描いたり工作できるような画材、古着・空き箱などのガラクタ、積み木やレゴといったブロックなどをいつもそこに置いておきます(カーターは、親が使わなくなった古いカメラなども、子どもにもたせるアイテムのよい例として挙げています)。

【その2】自由な時間を確保する

 大人が一切口出しをしない、子どもが自由に過ごせる時間を確保します。ただし、ゲームや既製のおもちゃなどは使わないようにします。

【その3】親が判断しない

 子どもが何かをしようとしたとき、「それは無理だ」とか「こっちのアイデアのほうがいい」などと大人が判断してしまうと、子どもの創造性は萎縮してしまいます。

 子どもがつくりたいものややりたいことについて、大人の視点で判断せず、自分で好きなようにトライさせます。

【その4】プログラミングを学ぶ

 以上のカーターの心得に加えて、プログラミングでも「ものづくり」の面白さを味わえます。

 プログラミングは一度でうまくいくことはほとんどなく、何度も「デバッグ」をくりかえすことで、やっと思い通りに動くようになるものです。

 子どもがプログラミングを学ぶ最大の意義は、言われた通りに正しく課題をつくりあげることではなく、忍耐強く何度も修正しながらやり抜く力を身につけることにあります。

(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』の内容を抜粋・編集したものです)