今、日本では空前のサウナブームが起きています。
芸能人や著名な経営者にも「サウナ好き」を公言する方が増え、また身近なビジネスパーソンで、精力的に仕事をこなすトップエリートと呼ばれる男女がこぞってサウナに通っています。なぜ、仕事ができる人は、サウナにハマるのでしょうか?
サウナを初めて科学的エビデンスに基づいて解説した話題の書「医者が教えるサウナの教科書」(加藤容崇著)より、最新研究に基づいたサウナの脳と体に与える効果と、ビジネスのパフォーマンスを最大化する入り方を、抜粋して紹介していきます。今回は、「熱中症になりづらい身体かどうか」をサウナで判定する方法を加藤先生にお聞きしました。サウナを利用する際には、きちんとコロナ対策を行なっている施設で、皆さん自身も万全の対策を行って楽しんでください(「医者が教えるWithコロナ時代の「サウナの入り方」10ヵ条とは」も参考に!)。また、日本サウナ学会のHPでは、コロナ対策をきちんと行っているサウナ施設のリストを公開していますので参考にしてください。

【サウナの科学】<br />熱中症になりやすいか<br />なりにくいかが、<br />自分でわかる判定法Photo: Adobe Stock

 前回の記事では、「サウナに入ると熱中症になりづらい身体になる」という研究報告があることをお伝えしました。

 今回は、実際に「自分の身体が熱中症になりやすいのかなりにくいのか」をサウナで判定する方法をお教えします。

 一般的に、サウナに入る習慣のない人が、突然サウナに入った場合、大きな汗の粒が吹き出し、その汗はベタベタとした感触であることが多いです。

 逆に、しょっちゅうサウナに入っている人がサウナに入った場合には、汗の粒が細かく、サラサラとしています。これは何の違いによるのか分かりますでしょうか?

汗の違いで、熱中症になりにくいかが判定できる

 実はこの差は、汗の中のNaCl濃度、すなわち塩分濃度の違いなのです。

 濃い塩水と、薄い塩水をイメージしてみましょう。濃い塩水が、ベタベタしていることはなんとなく想像がつくと思います。また、濃い塩水はNaClの結合が水の分子結合よりも相対的に強いので、表面張力が強くなり、汗の玉が大きくなります。

 つまり、「汗の粒が大きい」「汗がベタベタしている」というのは、体内のNaClが、汗の中に多く放出され、失われているということ。体内のNaClを含む電解質が失われると、体内に水分を保持できず、尿として排出されてしまい、汗として出せる水分の量が減ってしまうため、熱中症になりやすい状態になります。サウナによく入り、素早く汗が出て、「汗の粒が細かく」「サラサラ」な人は、熱中症になりづらい身体であるということです。

ただし、湿度の高いサウナでは、汗ではなく皮膚表面にできる結露の影響もあるので、行きつけのサウナで観察してみましょう。

 身体の中の変化は、このように外からも知ることができます。自分自身の身体を客観的に判断しながら、熱中症になりづらい身体を作りましょう。もちろん、サウナに入ったからといって熱中症にならないわけではありません。暑い場所に長時間居ることを避け、水分や電解質を十分とって、熱中症予防はきちんと行ってください。

 また、サウナでのコロナウイルス感染は大丈夫なの?という方のために、日本サウナ学会では対策済みの施設リストをYouTube動画付きで日本サウナ学会のHPにて紹介しています。ぜひご参考にしてください。さらにサウナを利用する際には、皆さん自身も万全のコロナ対策を行って、安全に夏サウナを楽しみましょう(こちらも参考に!)