大ベストセラー『夢をかなえるゾウ』シリーズ(文響社)でも知られる作家の水野敬也さん。最新刊『夢をかなえるゾウ4』では、「余命3ヵ月」を告げられた会社員の行動を通して「夢を手放す方法」を説き、大きな反響を呼んでいる。
一方、Twitter『ゲイの精神科医Tomyのつ・ぶ・や・き♡』が絶大な支持を集め、最新刊『精神科医Tomyが教える 1秒で悩みが吹き飛ぶ言葉』(ダイヤモンド社)でも悩める読者に「生きる勇気」を与えている精神科医Tomy先生。
一見、接点のなさそうな2人だが、実は名古屋の名門中高一貫校である東海中学・高校(男子校)の先輩・後輩という間柄だ。当時の水野さんはモテるために必死だったというが、Tomy先生はまったく別の風景を見ていたという。
そんな2人が著書に秘めた思い、人生にとって本当に大事なこと、価値観の多様性を認めるということ、さらに「人は何のために生きるのか」という壮大なテーマをめぐって対談した内容を3回に分けてお届けする。

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余命3ヵ月を宣告されたら

水野敬也
1976年生まれ。慶応義塾大学経済学部卒。初の著作『ウケる技術』(共著・新潮社)が25万部のベストセラーに。代表作である『夢をかなえるゾウ』シリーズ(文響社)は累計400万部を超える大ヒットシリーズとなり、最新刊『夢をかなえるゾウ4』でも大きな反響を呼んでいる。『人生はワンチャンス!』『人生はニャンとかなる!』(ともに文響社)、『雨の日も、晴れ男』(文春文庫)などの書籍でも知られ、『人生はニャンとかなる!』は2014年度全書籍売り上げの2位を記録するメガヒットとなった。また、恋愛体育教師・水野愛也として、『LOVE理論』『スパルタ婚活塾』(ともに文響社)、映画『イン・ザ・ヒーロー』の脚本も担当するなど活動は多岐にわたる。

水野敬也:『夢をかなえるゾウ4』では、冒頭で主人公が余命3ヵ月を宣告されます。「3ヵ月」という設定は、物語的な要請から生まれたものです。期限があったほうがストーリー性が生まれるなかで、3ヵ月という期間は、短いながらもギリギリ「何かできるかもしれない」と思える期間だといえます。

僕自身、物語を綴るにあたって、「自分自身が余命3ヵ月を宣告されたらどうするだろうか」と考えました。いろいろと想像してみたのですが、結論としては、『夢をかなえるゾウ』の続編を最後まで書き続けるだろうと思ったんです。これは自分でも意外でした。僕という人間が生まれた理由を突き詰めていくと、それ以外には考えられなかったのです。

小学生のときの僕は、勉強も運動もできて地元で「清須の神童」と呼ばれていたんです。けれど、名古屋で名門とされる中高一貫校の東海中学に入ったら、最初のテストでクラスの真ん中の成績でした。あまりにもショックで、いまでも「21位」という順位を覚えています。

それ以来、「勉強でも運動でも勝てない、女子にもモテない」というコンプレックスにさいなまれるようになりました。当時は、授業が終わると毎日、一直線に近くのゲーセンに駆け込んでいました。ゲームくらいしか、自分のみじめさをやり過ごす手段がなかったんですね。

そんな経験から、「このみじめさから解放されるために何ができるのか」を模索するようになりました。僕が挑戦してきたことの中で「文章」が一番受け入れられたので、今では作家活動をしていますけど、実はこれまでありとあらゆる職種を経験してきました。

一貫して追求してきたのは、「中高時代に味わったみじめさを、自分で止める」というテーマです。気持ち的には、天然痘のワクチンを開発して撲滅に尽力したエドワード・ジェンナーと同じで、「みじめ」という病気にかかった人を必ず癒したいのです。だから、僕自身が余命3ヵ月になったら、『夢をかなえるゾウ』という作品を完結させることにすべてを注ぐことになると思います。