さらに「中国は依然、発展途上国である」として、世界に約150カ国ある発展途上国を味方につけ、「1国1票」で決める国際機関の“テークオーバー”を進めている。

 米国は戦後、国際機関の設立をリードしたが、最近は自分の思う通りにならないとして、国際機関を軽視しているが、中国はその隙を狙って国際機関に浸透している。

 現在、15ある国連機関のうち4機関で中国人がトップに就任している。また中国は自由貿易や地球環境を守ると主張し、米国が世界に広めた理念をそのまま使っている。

 さらにはデジタル技術の標準を握ることで国際社会への影響力を行使している。今や次世代通信機器の5G、ドローン、監視カメラなどで世界一であり、衛星測位システム北斗は、米国のGPSとほぼ同数になった。

 これらを「デジタル一帯一路」としてアフリカなどに提供し、政治的な影響力を強めている。

 今回のコロナ禍での取り組みでも巧みにこうした戦略を駆使する。「健康一帯一路」「マスク外交」により世界のいろいろな国に医者を派遣し、医療物資を提供して存在感を高め、その一方では、世界の工場としての位置を守るため、生産活動の再開を急ぎ、外国企業の国内回帰を阻止し中国を中心としたグローバルサプライチェーンを維持しようとしている。

せめぎ合う米国流と中国流
日本は官民でリスク情報共有を

 こうした米国流と中国流がせめぎ合う状況で、日本はどのようなグローバル戦略を持つ必要があるのだろうか。

 日本は資源のない国であり、「貿易立国」としてグローバル経済のもとで生きていくしかない。

 戦後、自由化を進め、国際競争力を向上させ、“Made in Japan”の成功により、高度成長をすることができた。これも自由貿易システムの恩恵によるものだ。

 しかし最近はグローバリゼーションのもとで、リーマンショックのような「金融リスク」、コロナのような「感染症リスク」など、さまざまなリスクが発生している。

 とりわけ「政治リスク」はかつてなく高まっている。

 コロナの感染拡大に関し、豪州が中国の初期対応を非難し、感染源の国際調査を要求したところ、中国は豪州産牛肉や大麦の輸入関税を引き上げた。

 6月には中国が豪州に大規模なサイバー攻撃を仕掛けていると報道されているが、こうしたことは他人事ではない。