また、「採用数を増やす」「同数の採用を続ける」と回答した企業に複数回答可でその理由を質問したところ、「事業が拡大しているため/拡大に向けた体制強化のため」が最も多く341社で、「欠員補充のため」は203社でした。これほど事業を拡大している、もしくは事業拡大を狙った体制強化をしている企業があるのも驚きです。

 大都市にある企業と同じように、地方でも業績が好調あるいは影響を受けづらい業種においては攻めの姿勢を強化するところが多いようです。新たな事業を始める、もしくは既存のビジネスを強化する際には、優秀な人材が必要不可欠。そうした事業拡大に臨む企業が、採用にも積極的に取り組んでいるのです。

Uターン・Iターン人材を
獲得するためのカギとは?

 地方にはメーカーの城下町のようなところが多く、コロナ禍に加え米中対立の影響も受け経営の厳しいところが多そうだからUターン・Iターン転職はやめておこうと考えている人は少なくないと思います。しかし、今回の調査結果を見ると必ずしもそうではなく、採用数を増やすか従来通りの採用を続けている企業はちゃんとあることが分かります。

 ただし、事業拡大に向けて採用意欲の高い企業とそうではない企業で大きく傾向が分かれている感があるので、しっかり見極めて探していくことが重要になるでしょう。

 一方、地方企業の側に目を向けると、本気でUターン・Iターン人材を求めるのであれば、人事面の課題の改善が求められます。

 Uターン・Iターンの転職の動きは4月、5月にかけてストップしていました。その後、緊急事態宣言解除で人の移動がしやすくなってからも動きはまだ鈍いのですが、それは候補者が積極的な移動を避けていることに加え、多くの地方企業がまだオンライン面接をやりたがらない、あるいは不慣れなことが大きな要因になっています。

 今回の調査においても、「『コロナ禍』における人事面の課題はありますか?」との質問(複数回答可)に対して、「働き方の変化への対応(テレワーク推進・新人教育など)」388社と「選考の変化への対応(オンライン面接など)」370社がツートップになりました。

 地方ではそもそも東京や大阪とは感染状況が大きく異なる上、通勤で密になることはあまりなく、1人当たりのオフィス面積も広い。オンライン面談やリモートワークを推進する誘因があまり働かないのかもしれません。

 しかしオンライン面接を取り入れ、リモートワークへの対応を進めれば、Uターン・Iターンにとどまらず、居住地に関係なく人材を雇用できるようになります。

 日々の業務の状況を考えると、リモートワークを導入する緊急性は高くないと思われるかもしれませんが、リモートワークの活用により採用することができる人材の幅を広げることができます。つまり、結果的に人材獲得の競争力向上に直結するのです。

(株式会社クライス・アンド・カンパニー代表取締役 丸山貴宏)