――筆者のグレッグ・イップはWSJ経済担当チーフコメンテーター ***  米連邦準備制度理事会(FRB)は金融政策の枠組みを見直し、微妙ながらも明確に政策の主軸を物価から雇用に移した。  実務上の意義は大きくない。インフレ率はFRBの目標とする2%をすでに下回っており、失業率は10%を超える。そうした中で政策金利は向こう数年間、ゼロ近辺にとどまる見通しだった。それ自体は変わっていない。  だがこれは、制度的・哲学的に重要な転換である。FRBが107年の歴史の中で行ってきた他の方針転換のように、今回も激動する世界に対応して行われた。