文氏が重視してきた南北の融和に関しても同じことが言える。国際世論は同氏の北朝鮮政策を懸念した。米国は韓国が洋上での“瀬どり”を放置していることを問題視し、大型警備艇を派遣した。英国なども艦艇などを日本海周辺に派遣した。それは、安全保障の確立のために、主要国が米国との政策協調を進めることの重要性を理解しているということだ。

 当面、安全保障面で韓国が米国に頼る状況は変わらないだろう。それを大きく変えることもできないはずだ。サムスン電子をはじめとする財閥企業は、米国のドル覇権や半導体製造分野での知的財産と技術に頼らざるを得ない。

 見方を変えれば、習主席の早期訪韓を目指す文大統領の姿勢は「勇み足」といえる。主要先進国の外交政策を見ると、日米欧を中心に中国に対する懸念が明確に表明されている。その状況下、習氏の早期来訪を目指す国は見当たらない。国際世論と異なる外交政策を重視する文氏の姿勢は、国内の保守派や米国との関係を重視する国から不信を買うだろう。

 わが国は、粛々と米国と安全保障関係を強化し、欧州各国やアジア新興国などとは経済的な関係を強化して、国際世論を味方につけることに徹すればよい。それが、元徴用工問題をはじめとする歴史問題に関して、わが国が韓国に政府間の最終合意に基づいた、現実的な対応を求めることにもつながる。

 11月の大統領選挙後も、米国の対中政策に大きな変化はないだろう。状況次第で、対中強硬姿勢がさらに強まる可能性もある。その展開の中で、韓国が米国に依存する構図は続くだろう。このように考えると、習主席の早期訪韓が国際社会における韓国の立場を大きく変えることになるとは考えづらい。

(法政大学大学院教授 真壁昭夫)