新型コロナウィルスの影響で、世の中が大きく変わりつつある。そんな変化の激しい現代において「子どもに何をしてあげられるか」と悩んでいる親は多いのではないだろうか。
そこで、これまで教育を軸に取材を重ねてきた著者が、教育学から心理学までさまざまな資料や取材を元に、「家での勉強のしかた」から「遊び」「習い事」「運動」「食事」まで、子育てのあらゆるテーマをカバー、「いま、最も子どものためになる」ことを『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』(加藤紀子著)にまとめた。
発売早々、高濱正伸氏(花まる学習会代表)が「画期的な1冊が誕生した。長年の取材で得た情報を、親としての『これは使えるな』という実感でふるいにかけ、学術研究の裏付けやデータなども確認した上でまとめあげた力作である」と評するなど話題騒然の1冊だ。本稿では、特別に本書から一部を紹介する(取材協力:ワンダーラボ株式会社代表取締役、川島慶氏)。
「遊び」のように勉強をする
算数が得意になるには、地道にドリルをコツコツ解くしかない──。そんな思い込みをくつがえす最新の研究結果があります。
子どもの感性で思考力を伸ばすアプリ教材やSTEAM教育教材を開発しているワンダーラボ(旧:花まるラボ)が行なった実証実験では、子どもたちに思考センスを育てるアプリ「シンクシンク」を毎日15分プレイしてもらうと、3ヵ月後、学力が本当にアップするという結果が出ました(*)。
注目したいのは、子どもたちにとってはまるで遊びとしか思わない15分で、教科書で学ぶ計算力や文章題までもが以前よりできるようになったことです。
「算数力を伸ばすには、子どもたちが意欲(=ワクワク)を感じられることが大事」とワンダーラボ代表の川島慶氏はいっています。入り口が「遊び」だと、子どもたちはワクワクします。ワクワクは思考力や想像力を伸ばすだけでなく、計算のようなスキルの吸収力、理解力も高める効果があるのです。
いまやコンピュータがすべて正確に計算してくれる時代ですが、物事の大小や多い少ないの感覚を直感的につかむためにも、算数力は重要です。たとえば「1000キロメートルの散歩に行く」「鍋にしょうゆを15リットル入れる」といった数字に自然に違和感を感じられるか。
計算にアレルギーをもたず、数を自由にあやつれるようになることによって、「数の正しいスケール感を体験的に身につけておく必要がある」と川島氏はいっています。
では、子どもに「算数力」をつけてあげるにはどうすればいいでしょうか?
【その1】1日15分、ワクワクの土台をつくる
算数力を伸ばす原動力は「ワクワク感」です。幼いころからやりたいことを我慢させてドリル学習ばかりさせても、ワクワク感の土台がないと意欲や学力は高学年で頭打ちになると川島氏は指摘します。
学校の宿題と一緒に、楽しんで思考力を育てられるような問題を1日15分程度続けることで、算数が楽しくなるワクワクの土台をつくれます。
【その2】物事をさまざまな視点からとらえる
算数の思考力は、低学年ほど「遊び」を通じて身につけることができます。
問題集を買ってきてたくさん解かせるよりも、学校の教科書や計算ドリルの問題で、同じ答えになる式を探したり、順番を入れかえて計算の工夫を考えたり、ただ機械的に作業をするのではなく、想像力をかきたてるような作業をうながすと、柔軟な発想力が生まれてきます。
【その3】身近な数字で「足し算、引き算」をする
頭の中で歩数を数えたり、街で見かける車のナンバープレートを使ったり、身のまわりにある数字を足したり引いたりして、数字に興味をもてるようになると、算数がおもしろくなってきます。
子ども向けのナンプレやそろばんを習うのも、頭の中で自由自在に数をあやつれるようになる「暗算力」を育てます。
そろばんは、数という抽象的な概念を受け入れにくい小さな子どもにとっては、数が珠で実際に見えるという点で、算数を学ぶためのよい足場になります。
(本原稿は、『子育てベスト100──「最先端の新常識×子どもに一番大事なこと」が1冊で全部丸わかり』からの抜粋です)