解散・総選挙は
近いのか、先なのか

 ただ私は、早期に解散・総選挙がないとしても、菅氏は首相になったとしたら、来年9月までの任期中に解散のタイミングをうかがい続けると思います。どんなに謙虚な政治家でも、首相になったら1日でも長くその座にいたいものだから。

 ともあれ、解散は首相の専権事項です。政界には、「解散についてだけ首相は嘘をついてもいい」という不文律もあります。だから、解散の時期は本当に予測不能です。

――来年の総裁選は、どんな顔ぶれになりそうですか。

 仮に今回の総裁選で菅氏が勝利を収めた場合、石破氏と岸田氏が次期総裁選に名乗りを上げる可能性は高いです。ただ、岸田氏はこのままだと微妙かもしれません。非常に優秀な政治家ではありますが、今党内では、「安倍首相からの禅譲を待つ戦わない政治家」といった評価が増えています。来年も立候補を目指すなら、これから「発信力」を磨いていかないといけません。

 新しい注目株を挙げるとすれば、今回出馬を見送った河野太郎・防衛大臣です。河野氏は危なっかしいところもあるけれど、発信力が強く、国民の人気も高い。実は、菅氏も河野氏を買っています。2009年の総裁選に河野氏が出馬し、谷垣禎一氏と争った際、菅氏は宏池会に所属していましたが、派閥の意向に逆らって河野氏を支持しました。もし菅氏が今回総裁になったら、自分の後継に河野氏を推す可能性はあります。

――今振り返って、安倍政権の8年弱をどう評価していますか。レガシー(遺産)と呼ばれる成果がなかったとも言われていますが。

「記録は残るけれど記憶に残らない政権」だったと思います。過去の歴代政権を振り返ると、吉田茂の日本の独立回復、岸信介の日米安保改定、佐藤栄作の沖縄返還、中曽根康弘の行政改革、田中角栄の日中国交正常化など、首相の名前と実績がセットで浮かんできます。しかし、安倍氏にはそれがない。

 印象が強いのは、経済政策アベノミクスで株高・円安を演出したことですが、あれは金融市場が、リーマンショックの後遺症から「自然治癒」する過程と時期が重なった側面も大きいと思います。特に株高は、日銀とGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の大量の資金投入により、2~3割は下駄を履いた状態だったでしょう。