株価イメージ
安倍首相の退陣で株高は終わってしまうのか(写真はイメージです) Photo:PIXTA

安倍首相の功績は
円安・株高・外交

 安倍首相が8月28日に辞任を表明し、7年以上にわたり日本の経済、株式相場を支えてきたアベノミクスに、別れを告げるときが来た。安倍氏が首相に就任した2012年は、1ドル=70円台まで円高が進み、日本の経済と株式相場は死に体となっていた。それを強力な金融緩和による円安と輸出企業の収益回復(それに伴う株高)で見事に蘇らせたアベノミクス前半の功績は、大変に大きかったといえる。

 安倍首相の後半の最大の功績は外交で、米国のトランプ大統領と良好な関係を築いたことだ。安倍首相は大統領選挙直後の16年11月、他国首脳に先駆けていち早くトランプタワーを訪問。訪問前にはトランプ大統領の過去のゴルフスコアまで事前に調べ上げ、会談に臨んだとされる。ゴルフ談義に花が咲いたこともあり、2人は意気投合し、その後何度も一緒にゴルフを回るなど良好な関係を続けた。

 両者の良好な関係は、日本経済を救ったといえる。トランプ大統領は貿易赤字を忌み嫌い、赤字が大きい中国からの輸入品に高関税をかけた。米国の対日赤字も中国ほどではないが大きく、関税を引き上げられても不思議ではなかった。しかし結局関税は強化されず、20年1月には一部工業輸出品の関税撤廃を含む互恵的な日米貿易協定が発効した。首脳同士の良好な関係が、通商交渉に好影響をもたらした可能性は高い。

 仮に日本の基幹産業である自動車の対米輸出に高関税がかけられた場合、自動車工場の海外移転が加速した可能性がある。その場合、日本の雇用や下請けの中小企業は大打撃を受け、日本経済は今より桁違いにひどいボロボロの状態に陥っていたはずだ。

 少子化対策など潜在成長力を底上げする施策はいまひとつだった感はあるが、少なくとも円安・株高や外交の分野で大きな功績を上げた安倍首相が退陣しただけに、「日本の株式相場は大丈夫か?」という声が出て当然だ。

 実際に辞任が発表された日の株価は、一時急落した。短期的には、米政権との良好な関係や政治の不安定化に対する懸念が、株価の上値を抑制する要因となる可能性は否定できない。ただ筆者は、一時的に影響が出ても、株価は早晩持ち直し、20年後半から21年にかけて上値を追う展開になるとみている。