テスト前なのに勉強もせずゴロゴロして、スマートフォンをいじっている子どもを見ると、ついイライラしてしまうものです。そして、つい言ってしまいます。
「勉強しなさい!!」
しかし、子どもは親に勉強しなさいと言われるほど、勉強したくなくなる生き物です。「うるさいなあ」と言いながらも机に向かってくれればいいほう。「今やろうと思っていたのに!」と怒りだし、かえって勉強が手につかなくなり、フテ寝してしまう子もいるでしょう。
そんなご家庭に紹介したいのが、『朝15分学習法』です。やり方は、とっても簡単。子どもが朝起きたらすぐに食卓に座らせて、たった15分、学習させるだけ。
用意するのは、消しゴム2個と鉛筆2本でOKです。
これだけで、子どもに学習する習慣がつき、小学校、中学校、高校、大学にあがっても、自ら勉強する子どもに育ちます。親御さんの望む、子どもの学習習慣が手に入れられるのです!
本連載では、延べ6万5000人以上の子どもたちを指導してきた著者が、0歳から大学生までの学習実例をもとに、正しい学習姿勢のポイントをはじめ、お風呂での学習法や、塗り絵を学習に生かすコツなど、子どもの年齢に合わせた学習法を紹介していきます。(初出:2020年9月24日)

朝15分であれば、
起きる時間を変えずに実行できる

 ここまで「毎日の学習を習慣化するには、朝15分がポイント」とお伝えしてきましたが、「なぜ朝なのか」「なぜ15分なのか」を改めてご説明したいと思います。

 私の教室で、家庭学習についてのアンケートを取りました。

 学習の時間が「決まっている」子どものうち、自分から学習する子どもは約60%、声がけをすると学習する子どもは約40%、声がけしても学習しない・日によってはしないという子どもは一人もいませんでした。

 学習の時間が「だいたい決まっている」子どもの場合は、自分から学習する子どもが31%、声がけすると学習する子どもが66%。声がけしても日によってはしない子どもは3%いました。そして、学習の時間が「決まっていない」子どもの場合。自分から進んで学習する子どもはわずか5%。声がけをすると学習する子どもが74%。そして声がけしても学習しない子どもが21%もいました。

 この結果から、学習時間は「だいたい」ではなく、きちんと決めて習慣化させるほうが、子どもが自分から進んで学習できるということがわかりました。

 そして、学習の時間を固定化しやすいのが「朝」なのです。

 親御さんから「学習習慣をつけるのが難しい」と相談されることがありますが、その場合、私は必ず朝のスケジュールを確認します。例えばこんなふうに。

「お子さんは何時に起きますか?」
「6時か6時半です」
 おそらく6時から起こし始めて、6時半までには完全に起き出すという感じなのでしょう。
「お子さんは何時に家を出ますか?」
「7時40分です」
 近所の公立小学校に通っている場合は、これぐらいの時間に家を出る子どもが多いようです。

 6時すぎに起きて、7時40分に家を出る生活ならば、時間の使い方を少し変えるだけで明日からでも朝学習を取り入れることができます。

 まず、子どもを起こすときは一気に! 6時に声をかけるのであれば、その時点で完全に起こしてしまいましょう。6時きっかりに起きることができれば、朝ご飯に20分、身支度に20分かかるとしても、時間は十分にあります。6時に起こして5分で食卓に移動させ、水分だけ取らせながら6時5分~20分まで学習させます。

 寝起きの悪い子どもには、冷たいものを何か一口食べさせましょう。お勧めは、凍らせた果物。バナナやパイナップルは一口で食べられる大きさに切り、みかんならば皮をむき、ぶどうならば1粒ずつばらばらにして食品保存用の袋に入れ、冷凍しておきます。果物アレルギーがあるならば、無果汁の清涼飲料を製氷皿で凍らせておきます。これらをぽいっと口に入れてあげましょう。

 子どもはご飯をお腹いっぱい食べさせるとぼーっとしてしまいますが、冷たいものを一口だけ食べさせるのは、むしろ目が覚めてお勧めです。もぐもぐしているうちに学習を始めさせても大丈夫です。

寝起きの悪い子どもには、冷たいものを何か一口食べさせましょう(『頭がよくなる朝15分学習法』より)イラスト/荒木慎司

 次に、なぜ「15分」なのか。これを読んでいる親御さんの中には、「たった15分で大丈夫なの? ちゃんと習慣化するの?」と心配される方もいるかもしれません。

 私は娘が1歳のころ、毎日30分学習させようと試みたことがあります。30分であれば、私自身が負担なく続けることができると考えたのです。行ったのはひらがなことばカードなど、字を覚えさせるための簡単なメニューでしたが、いざ学習させてみると、1歳児には30分は長すぎることがわかりました。

 実際、学習が習慣化した2歳児でさえ、集中できる時間は20分です。朝学習デビューするならば15分で十分。月齢が小さい、あるいは集中力が持続しにくい子どもの場合は、「量より習慣」が優先。時間は短くても、毎日決まった時間に座って学習する習慣をつけることが大切です。