休校期間中、物理の勉強法とスケジュールの立て方を2人の先生が掛け合いで説明、その動画を生徒に配信している 写真提供:日本大学高等学校・中学校

感染が拡大する新型コロナウイルス。在宅生徒に向け遠隔で授業を行うため、各校はぎこちないながらも、いや応なしのICT(情報通信技術)の活用を始めている。現場はどのような状況になっているのか。緊急アンケートの結果も踏まえながら見ていこう。(ダイヤモンド・セレクト編集部)

課題に押しつぶされそうな新入生

 緊急事態宣言から3週間が過ぎた。この間、対象地域は全都道府県に拡大され、4月中に教室で教員と生徒が顔を合わせる可能性はまずなくなった。校長のあいさつと新入生の担任紹介を動画で撮影し、一般非公開のYouTubeで送ることで入学式を済ませた学校も出ている。

 都知事が4月25日からゴールデンウイーク終了までの2週間を「ステイホーム週間」と呼びかけるなど、収束とは程遠い状況にあり、5月7日から本当に教室での対面授業を再開できるのか、懸念が高まっている。

 ほとんどの学校では夏期長期休暇の間に代替授業を行う予定であることは前々回の連載でお知らせした。このまま休校が長引けば、今年は夏休みがなくなってしまう可能性も出てきた。

 2014年に設立されたベネッセホールディングスとソフトバンクの合弁会社であるクラッシー(classi)は、高校と中高一貫校の半分近くで採用されている教育プラットフォームである。4月上旬には約122万人分のIDのなどに不正アクセスされるトラブルにも見舞われ、その後も遠隔学習をする学校の増加から、なかなか接続できないといった苦情が保護者の間に渦巻いてしまった。

 この4月から、東京都区内にある私立中高一貫校に娘を通わせることになった父親は、リモートでの在宅勤務のかたわら、娘の学校への対応でも悩まされていた。娘の学校ではクラッシーとGoogleのクラスルーム(Classroom)を併用しており、それぞれから学校の連絡を受ける状態が続いている。加えて、郵送されてくるプリント類にも別の指示が記載されており、当日の課題をまとめて娘に分かりやすく伝えることが日課となっている。

 小学校と中学校では学習量も異なるのだが、オリエンテーション抜きに進んでいることもあり、娘は毎日の課題に押しつぶされそうになっている。オンライン会議システムのZoom(ズーム)を使った担任との面談で、どこまでやればいいのか悩みを話し、「できる範囲で頑張ればいいですよ」と言われて少し安心したものの、携帯端末に5教科それぞれのさまざまな指示がさみだれ式に届くため、着信音が鳴るたびに娘はへきえきとしている。 

 まだ一度も登校していないにもかかわらず、わざわざ毎朝制服に着替えてその着こなしを鏡に映して見ている娘の姿に父親は胸を締め付けられる思いだが、遠隔授業疲れの娘にとっては、それが気晴らしになっているのかもしれない。

 私立中学の生徒はこのように時間割どおりに自宅学習が課されている一方で、地元の公立中学校に進んだ小学校時代の同級生が娘を遊びに誘いに来る様子を見ると、「教育格差」という言葉がこの父親の脳裏をよぎるのだった。