いよいよ来週には新総理が決まります。今のところ自民党総裁選は菅義偉官房長官の圧勝が予想されていますので、菅政権が誕生する可能性が非常に高いのですが、それでは菅政権の経済政策の最大の課題は何でしょうか。
正しい意味での官邸主導に戻せるか
菅政権の最優先の課題がコロナ対応であることは当然です。コロナの影響で経済活動が低迷を続ける一方、若い世代の感染者が重症化する割合は極度に低いことなどを考えると、短期的には、人や企業がもっと動いて経済が回るよう、第3次補正予算を含め政策資源を集中投入する必要があります。ただ、逆に言えば、それは誰が総理になっても当然やるべきことです。
自民党の中でも改革派の最右翼である菅氏が総理になるからこそ、菅政権が取り組むべきであり、私たちも成果を期待すべきである最大の経済政策の課題は、経済政策を正しい意味での「官邸主導」に戻すことだと思います。
というのは、安倍政権はアベノミクスにより株価を2倍にして失業率を半減させるなど多くの成果を残しましたが、それらは三本の矢のうち主に金融緩和と財政出動によるものであり、成長戦略、つまり構造改革の面ではあまり大きな成果はありませんでした。
だからこそ、日本経済が長期的に成長を続けるために不可欠な生産性や潜在成長率は、安倍政権の7年8カ月でほとんど上昇していないのです。このままでは、コロナ後の景気回復と成長も緩慢なものになりかねません。
そして、安倍政権の成長戦略がイマイチだった原因を考えると、安倍政権では、少なくとも経済政策については、官邸主導の意味合いが変質してしまった影響が大きいのではないかと思います。