11月3日の米大統領選挙がいよいよ終盤戦に入る中、トランプ大統領と民主党候補のバイデン前副大統領の両陣営による攻防が激しさを増している。米国をはじめとする海外の政治情勢に詳しいジャーナリストの蟹瀬誠一氏が、トランプ再選の行方について解説する。
トランプ元腹心の暴露本で
注目すべき2つの言葉
「トランプ氏を裏切るくらいなら、高層ビルから飛び降りたほうがましだ」
そう公言していた顧問弁護士で元トランプ信奉者だったマイケル・コーエン受刑者がついに回顧録『Disloyal: A Memoir』(裏切り)を出版し、大統領の暗部を暴露した。伝聞ではなく長年トランプの側近だった人物の話だから、終盤戦に入った大統領選に影響を与える可能性がある。
同書でコーエンはトランプを自分と同罪の犯罪者だとし、「ずるい嘘つき、ニセ者、他人をいじめる横暴な人種差別主義者、略奪者、詐欺師」だと具体的なトランプの言動を挙げて非難している。「マフィアのボスのような」人間だとも。
ロシア疑惑に関しても「ロシアと共謀した。プーチン大統領と彼の周辺の腐敗した億万長者の関心を買おうとした。私が両者の秘密の出会いを取り持った」と生々しい。
すでにトランプに関する暴露本は数多く出版され、トランプの虚言癖、セクハラ、パワハラはもう周知の事実だから驚きは少ないかもしれない。
だが、私が注目したのは2つの言葉――「マフィアのボス」と「あいつは(選挙で)勝つためにはなんでもやる」――が暗示するトランプのダークサイドスキルだ。