アイデアを社内でスモールビジネスに

 ザッポスはかなりの量の販促品を使います。新しい方法を試した最初の3ヵ月、2016年10月~12月に、私は会社の経費を10万ドル減らしました。

 10万ドルです。現金で。キャッシュで。

 ワオ!

 会社のコストを削減できたことはもちろんですが、私はさらに考えました。私が中間業者になって、こうした品々をほかの会社に売ればいいんじゃない? 販促品の業界は230億ドル以上の規模です。市場には私のような小さなプレイヤーが入り込む余地がありました。

 そこで、私は行動に移しました。一緒に活動している慈善団体や学校などにも、従来よりかなり安い値段で販促品を販売することができました。

 こうして会社のコストを削減するだけでなく、この新しい試みから利益が上がるようになりました。たいした金額ではありませんが。でも、ほかの非営利団体のコスト削減にもつながり、彼らもこの仕組みをとても喜んでいました。

 しばらくしてスワッグ・ソースの話が広まり、私は販売の規模をさらに大きくしました。商品を購入したり倉庫に保管したりする必要がなく、とてもいいビジネスだと思います。私はあくまでも中間業者で、メーカーから私の顧客に直接出荷するので、間接的な経費はほとんどかかりません。新規事業を立ち上げるコストも、基本的にかかりませんでした。

 私は経費削減のアイデアを、社内でスモールビジネスにしたのです。まもなく、お金の流れを管理する人や、私の仕事を手伝ってくれる人が必要になりました。

 私はスワッグ・ソースにかなりの時間を費やしていたので、ついに上司に言われました。「あなたのポジションに、ほかの人を配属してもらわないといけないな。そちらにかかりきりだ。スワッグ・ソースの運営があなたの新しい正式な仕事になる。いいね?」

 つまり、私は自分の仕事をつくり出したのです!

 ブルックリンで気に入っていた仕事を辞めて、リスクを選んで、ザッポスでは1歩後退して未経験のレベルから始めました。その後はもう1歩下がってから、5歩前進しました。

 自己組織化への移行とティール・オファーも、同じように考えることができるでしょう。私たちは1歩か2歩後退してから、5歩、前に進んだのです。少なくとも私はそう思いました。