バフェット氏が商社株に投資した理由
(4)「非ESG的」銘柄

 商社は前出のように資源関連のビジネスへの割合が大きいし、化石燃料を使う発電所のようなプラントのビジネスも有している。環境を考えていないわけではないだろうから各社のIR(投資家向け広報)の担当者に怒られるかもしれないが、商社は現状では「地球環境に負荷をかけている企業」だろう。

 また、商社は日本のビジネス界の中でも「男社会」的な側面が強く、女性の役員・幹部社員は少ない。

 日本の商社は、いわば「非ESG的」である。

 投資としての評価に関わる点に関してバフェット氏は、E(環境)もS(社会的責任)もG(企業ガバナンス)も目配りしただろう。だが、「ESGの観点からの投資」に特にこだわっていないように見える点で、今回の日本の商社への投資はバフェット氏らしい。

 同氏は、ESG投資家に嫌われて株価が低評価なのであれば、むしろ投資のチャンスだというくらいに考えたのではないか。

バフェット氏が商社株に投資した理由
(5)コングロマリットディスカウント

 複数のビジネスを持つ企業体が、個々のビジネスを独立させた状態よりも低く評価される「コングロマリットディスカウント」と呼ばれる現象がある。株主から見て資本の活用効率が悪いことが嫌われ、いわゆるアクティビスト的な株主は、事業を一部分離して別途上場することを要求するケースもある。

 日本の総合商社は、多分野のビジネスの集合体なので、彼らの株価の低評価には「コングロマリットディスカウント」が働いている公算が大きい。これは、現状の不人気の理由だが、バフェット氏の立場から見ると、今後、総合商社が事業を再編してコングロマリットディスカウント的なデメリットを解消できれば、投資の価値が上る可能性が大きいことを意味する。

 こうした株主から見た経営改善は、個々の商社が行うこともできるが、例えば、複数の商社が同一のビジネス部門を統合して分離することも有効な対策になり得る。過去に例が多くあるわけではないが、三菱商事と双日が鉄鋼部門を統合してメタルワンにまとめたような事例もある。

 今回バフェット氏は複数の商社に同時に投資したが、こうした構想を持っているのかもしれない。