ヘッジファンドの先駆けとなるクォンタム・ファンドを著名投資家のジョージ・ソロス氏と1973年に設立し、10年で4200%という驚異的なリターンをたたき出した“伝説の投資家” ジム・ロジャーズ氏(76歳)が来日。富士山のロゴが入った、トレードマークの蝶ネクタイ姿で現れたロジャーズ氏は日本好きを公言するが、インタビューでは日本株の暴落を予言し、日本銀行の量的金融緩和政策を「狂気の沙汰」と断じるなど辛辣な警告を発した。そのロジャーズ氏が挙げた意外な投資先とは――。(ダイヤモンド編集部 重石岳史)
量的緩和政策の効果は
「人工的」で必ず止まる
――あなたは今、どんな株式や債券を買っているのでしょう。
私の保有資産は日々変わっているが、今は中国とロシアの関連株を中心に保有している。日本株は持っていない。
――日本株は外国人投資家にとって割安との指摘もあるが、なぜ日本に投資をしないのですか。
割安感はあるかもしれない。ただ私が2018年に日本株を全て売却した理由は、日本株はもう上がらないと考えたからだ。
日本銀行はジャブジャブと紙幣を刷り続け、株価を支えている。この効果は当面維持されるかもしれないが、いずれ必ず止まる。さらに消費増税は日本経済に深刻なダメージを与えるだろう。このままでは、いつか日本株は暴落するとみている。
ちなみに私は米国株も一切持っていない。今は史上最高水準の高値だが、私はこのバブルに賛同する気はない。
――日本に今後、どのような変化が起きれば日本株を買いますか。
まず消費税廃止などのドラスティックな減税が行われること。そして日銀が量的緩和をやめることだ。
安倍晋三首相が「無制限の金融緩和」を掲げ、日銀はこれを実行するためにETF(上場投資信託)や国債を大量に買い入れているが、私からすれば狂気の沙汰としか言いようがない。
このことが続く限り、私が日本に投資することはない。なぜなら今の日本の株式市場は、人工的につくられた架空のものであるからだ。紙幣を大量に刷って物価を上げようとしたり、金利水準がこれだけ低かったりするのは人工的で現実離れしている。そうした非現実的なものに私は投資をしたくない。