累計38万部超のベストセラー『餃子屋と高級フレンチ』シリーズでおなじみの著者・林 總氏の最新刊『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』が9月29日にダイヤモンド社から発売になります。本連載では、同書の中から抜粋して決算書を読み解くために必要な基本の知識をお伝えしていきます。登場人物は、林教授と生徒の川村カノンの2人。知識ゼロから始めて、いかにして決算書を読み解くスキルを身につけていくのか? 川村カノンになったつもりで、本連載にお付き合いください。第1回は、イントロダクションです。

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日本人の会計リテラシーを底上げしたい

 皆さん、いきなりの質問ですが、会計は得意でしょうか? 決算書を読みこなせる自信はありますか?

 IT、英語、会計がビジネスパーソンの三種の神器と言われるようになって久しいですが、実際に、会計を理解できている人、使いこなせる人はどれくらいいるでしょうか。

 例えば、経営者やビジネスパーソン、メディアの記者や経済評論家の「会計力」はどうでしょうか?正直、私はかなりネガティブに考えています。なぜなら、多くの経営者はROE(自己資本利益率)の向上を目指すべきだと何の疑いもなく主張しています。

 また、記者や評論家の中には収益と利益を混同したり、内部留保を取り崩して従業員に分配せよ、と的外れの訴えをする人がいます。しかし、会計の専門家である私に言わせれば、これらは噴飯(ふんぱん)ものの物言いなのです。

 このような発言やインタビュー記事を読むたびに、私の中で「日本人の『会計力』をもっと底上げしなければ」という使命感のようなものが、ふつふつと湧き上がるのを感じてきました。そんな思いから執筆を始めたのがこのたび上梓する『たった10日で決算書がプロ並みに読めるようになる! 会計の教室』です。

 大げさでもなんでもなく、日本人の「会計力」の向上は、日本経済や企業、家計のレベルアップにつながると大まじめに考えています。

 ただ、言うまでもなく、経理関係者を除いて、それ以外の一般の人が簿記(決算書を作る技術)をマスターする必要はありません。簿記1級を取得すれば決算書を作ることはできるようになりますが、「決算書を解読し、経営に活かせる」ようにはなりません。

 つまり、会計力を身につけたいと思って簿記1級をめざすことは、アプローチとして正しくありません。必要なのは、「決算書を通して、その会社の状況や課題を把握し、それを経営や自分の仕事に活かしていける力(=会計力)」を身につけることです。