何事も方法を間違えると
挫折や失敗を繰り返してしまう

なぜ、日本人の会計リテラシーを底上げする必要があるのか?林 總(はやし・あつむ)
公認会計士、税理士
明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授
LEC会計大学院 客員教授
1974年中央大学商学部会計学科卒。同年公認会計士二次試験合格。外資系会計事務所、大手監査法人を経て1987年独立。 以後、30年以上にわたり、国内外200社以上の企業に対して、管理会計システムの設計導入コンサルティング等を実施。2006年、LEC会計大学院 教授。2015年明治大学専門職大学院 会計専門職研究科 特任教授に就任。著書に、『餃子屋と高級フレンチでは、どちらが儲かるか?』『美容院と1000円カットでは、どちらが儲かるか?』『コハダは大トロより、なぜ儲かるのか?』『新版わかる! 管理会計』(以上、ダイヤモンド社)、『ドラッカーと会計の話をしよう』(KADOKAWA/中経出版)、『ドラッカーと生産性の話をしよう』(KADOKAWA)、『正しい家計管理』(WAVE出版)などがある。

 以前、私は肥満とダイエットを繰り返していた時期がありました。その繰り返しを断ち切ろうと始めたのが、ゆるやかな糖質制限でした。

 そして1ヵ月後、何の苦もなく体重は減り、それ以後不思議なことに甘いものを食べたくなくなりました。この時、私は肥満の原因はカロリーではなく糖質の摂り過ぎだったことを学びました。難行苦行のダイエット(カロリー制限)は無意味だったというわけです。

 言いたいことは、何事も方法を間違えると挫折や失敗を繰り返してしまうということです。

 会計の勉強もまったく同じです。どれだけ時間をかけても、もし勉強方法が間違っていれば会計力を身につけることはできません。

 では、どうすれば「会計力」が身につくのでしょうか。そのコツは「基本の理論を学び、本質を理解すること」です。

たった10日で~』の本では、私の45年以上にわたる会計を使ったコンサルティングと、15年の会計大学院での教育から編み出した独自のノウハウをまとめたものです。講演や授業で使う図版を多数載せてあります。決算書のどこにどう注目すればいいのかが、具体的にわかると思います。

 入門書ではありますが、「決算書がプロ並みに読めるようになる」というやや高いゴールを設定しました。実際にそうなっているかどうか、ぜひ、その目で確かめていただければと思います。もちろん、こちらの連載でもその一部を抜粋してご紹介していきます。

 では、次回から登場人物の「川村カノン」になり切って、私の特別授業にしばしお付き合いください。