「長年安倍政権を支えてきた『万年秘書』は、やっと“扶正”ができたね」(※筆者注:扶正とは、本来の意味は妾を正妻に取り立てることだが、今は、長年我慢してやっと出世したことを表す)

「非常に控えめそうな方だが、農民出身で一国のトップに上り詰めたるとは、並々ならぬ本人の努力があったのだろうな」

 などの声がある一方、一部には下記のような厳しい見方もある。

「どうせ次期の総理選挙の繋(つな)ぎだろう、しょせん、安倍さんが垂簾聴政(すいれんちょうせい)となり、つまり前総理の操り人形、傀儡(かいらい)政権だ」

「慰安婦問題を否定した人だろう、これからの対中政策がどうなるか気になる」

「日本は、誰が総理になっても一緒だ。どうせアメリカと中国の板挟みの犠牲者になるのだ」

 しかし、菅氏に対しては総じて好意的な見方をする中国人が多い。

 その理由は明らかで、詳しくは後述するが、エリート層ではない人物が数々の努力の末、「一国のリーダー」となったからだ。

農民出身者が
一国のトップになることへの驚き

「農民出身者が一国のトップになった」こと――。

 その驚きと衝撃は、中国のSNSに投稿されたコメントを眺めると、ヒシヒシと伝わってくる。菅新政権の今後や、政権寿命の長短という問題よりも、むしろ、菅氏のこれまでの生い立ちや経歴などに圧倒的に関心が高い。

 それは各ニュースの見出しを見れば、一目瞭然だ。

「“農民工”から首相へ」
「農民の息子、一国のトップになる」
「農民出身の草の根の首相が誕生」
「昔日の農民工、今日の首相」

 など、「農民」「農民工(※筆者注:詳しくは後述、中国の出稼ぎ農民のこと)」というキーワードが付いた見出しがやたらと目につくのだ。