ビジネスパーソン読者は、まずは、定年まで雇用とそこそこの給料が保証されているという前提がなくなる可能性に思いを馳せるべきだし、もちろん、思うだけではなく、個々に準備にかかるべきだろう。

 脱年齢の時代に向けて、ビジネスパーソンがなすべき準備は、何よりも自分の人材価値の確立とメンテナンスだ。年齢による差別はいけない、という倫理的な原則論の一方で、「現在同じ能力なら、年齢が若い方が、雇う側から見て価値がある」という、加齢に対して厳しい人材価値の原則がある。

 有能な人材なら、歳が若い方がより長く使えるし、その間にスキルがより習熟することも期待できるからだ。年齢差別がなくなるとしても、歳を取るということの現実は厳しい。加齢と共に人材価値を落とさないためには、不断の努力が必要だ。

自分の仕事と稼ぎの機会を開拓
「脱年齢の時代」にどう備えるか

 ビジネスパーソンにとってもう1つ大事なのは、自分の仕事と稼ぎの機会を自分で開拓する努力だ。転職について要領を知ることや、自分のスキルセットを転職市場に適応させること、さらには、副業を持ったり、独立のための準備をしたり、といった諸々のことが、リスクを分散・低減し、いざというときに読者を助けるだろう。

 そして、年齢にこだわらない人間関係に慣れることが重要だ。自分よりも若い上司に仕えることが自然にできなければならない。その上司が、かつての自分の部下である場合もあるだろうが、それでも同じだ。

「歳をとっていれば(あるいは、若ければ)、偉いというわけではない」というのと同様に、「社長」や「部長」といった肩書きも、仕事に限定された単なる役割であって、それ自体として人の優劣とは無関係だということを心からわかっていれば、できるはずだ。気分的にもすっきりするだろう。

 つまるところ、個人として、人間として、普通の努力をしていれば、「年齢」や「肩書き」の効力がなくなっても慌てるには及ばないし、個人が能力や個性に応じて機会や報酬を得るのだから、さわやかでもある。

 総合的には、「脱年齢の時代」は、個人にとって厳しい面もあるが、自由でフェアな「今よりもいい時代」になるのではないか。楽観的に過ぎるかも知れないが、筆者はそう期待している。