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アメリカの教育格差の要因は、授業が“ない時間”にあった。小学生の長期調査を分析すると、授業がある期間の学力の伸びは貧困層の子どもが上回るが、夏休みの数カ月で裕福な家庭との差が一気に広がっていたという。米国が抱える構造的な問題を多角的に検証する。※本稿は、ジャーナリストのマルコム・グラッドウェル、桜田直美訳『Outliers 思考と思考がつながる 最適解がみえる頭の主になる方法』(サンマーク出版)の一部を抜粋・編集したものです。
子どもに長期の夏休みは必要か
調査で驚きの実態が明らかになる
アメリカの教育システムに関する議論で、夏休みの話題が出てくることはめったにない。夏休みはあって当然であり、フットボールの試合やプロム(卒業前のダンスパーティ)と同じように、学校生活に不可欠だと思われているからだ。
しかしここで、小学生を対象にしたテストの結果を見てみよう。これを見ても、まだ長い夏休みは絶対に必要だと断言できるだろうか?
これらの数字は、ジョンズ・ホプキンス大学社会学教授のカール・アレクサンダーによる研究から引用している。アレクサンダーは、メリーランド州ボルチモアの公立学校に通う650人の小学校1年生を対象に、数学と読解力の試験としてよく使われるカリフォルニア州学習到達度試験の点数を追跡調査した。
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