行政のみならず政府の司令塔機能の縦割りも深刻

 そして、最後にもう一つ、菅政権が本当に縦割りを打破する気ならば、官邸に乱立する行政分野ごとの会議体を整理統合することも不可欠であることも忘れてはいけません。

 実は官邸にさまざまな会議体が乱立するようになったのは、小泉政権の時代です。当時は経済財政諮問会議が経済政策の司令塔として強大な力を持っていたので、そこで社会保障の問題まで議論されてしまうことを警戒した厚労省が、総理をトップに社会保障問題を議論する別の会議体を官邸に立ち上げました。それ以降、各省庁がその真似をして、自分の役所の行政に関する独自の会議体を官邸にどんどん設置するようになり、今の乱立状態につながっています。

 つまり、今は行政の縦割りのみならず、官邸の会議体という「政府の司令塔機能の縦割り」までもが進んでしまっているのです。この司令塔の縦割りの打破なくして、霞が関の行政の縦割りの打破は困難です。

 以上つらつらと偉そうに書いてきましたが、小泉時代に副大臣の経験があり、かつ8年近くも官房長官を務めてきた菅総理は、もちろんこれらの事実をよくご存じのはずです。

 だからこそ、この冬にコロナの第3波が来るとか、外交で突発事態が起きるとかで菅総理ご自身が多忙を極めるようになる前に、担当大臣にチームをつくらせ、司令塔機能の縦割りの打破にも取り組み始めることを期待したいと思います。

(慶應義塾大学大学院 メディアデザイン研究科 教授 岸 博幸)