日本国債市場は興味深い、とみなされることはめったにない。利回りは文字通りゼロに張り付いており、取引は実質的に存在しない。勘が鋭い国際的な投資家でさえ、話題にすることは少ない。ところが、波風が立たない水面下をのぞいてみると、短期日本国債と日銀預け入れを巡る取引の背後にはドル調達の活発な世界が隠れている。また、中国の金融システムの実態について手がかりも与えてくれる。外国中央銀行が日銀に預け入れているこの当座預金は近年急速に増加し、今年1-3月期だけで1750億ドル(約18兆円)超に相当する資金が増えた。4-6月期には減少したものの、前年同期比では66%増と高水準を維持した。こうした預金は為替スワップ市場の取引を反映することが多い。為替スワップは銀行・保険会社・年金など日本の機関投資家がドル建ての大規模な海外投資に対するヘッジとして、利用を活発化させている。